研究概要 |
今年度は気管支喘息における炎症細胞と気道平滑筋細胞の相互作用を明らかにするために、human cytokine protein array(RayBio)により、昨年包括的に評価したサイトカイン・ケモカイン・成長因子のなかで気道平滑筋細胞に確実に刺激を入れうるサイトカインとその刺激によって産生しうる蛋白に焦点をしぼり研究を進めた。気管支喘息のみならず間質性肺炎でも着目されるTh2系リンパ球や肥満細胞から産生されるサイトカインの気道平滑筋細胞への調節作用を検討した。Th2サイトカインであるIL-9が肥満細胞の局所への遊走などに関与するSCF(Stem cell factor)や線維化に関与するTGFβ_2,TGFβ_3そして細胞外基質として近年組織の構築のみだけでなく、炎症局所の制御にも関与することが示されているCollagen, versican, lumicanのmRNAを誘導に効果を示すことをReal time PCR法で示した。またTGFβ_1が平滑筋細胞個々の収縮能を増強することをgel contraction法で示した。これらのことは炎症の場で気道平滑筋細胞が炎症細胞を引き寄せるだけでなく、引き寄せた炎症細胞の刺激を受け、傷害組織の修復、またはリモデリングにも関与する可能性を示唆するものである。IL-9刺激下でのさらなる効果を探るため現在IP-10やRANTESなどのケモカインの産生についても検討中である。さらに組織修復作用として重要である遊走能を平滑筋が有しているかについて、またその場合の細胞相互間の関与について明らかにするためにmodified Boyden Chamber法にてIL-4,IL-13またヒト気道上皮細胞及び線維芽細胞から得た上清に対する平滑筋細胞の効果について検討進めている。細胞内シグナル経路解明については引き続き検討を進る予定である。
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