研究課題
孤発性筋萎縮性側索硬化症(ALS)の脊髄運動ニューロン死に密接に関連するグルタミン酸受容体であるAMPA受容体GluR2サブユニットのRNA編集低下は、RNA編集に関わる酵素adenosine deaminase acting on RNA type 2(ADAR2)の活性低下により引き起こされる。ADAR2遺伝子のノックアウトマウスは生後20日ほどで死亡してしまうので、ADAR2遺伝子を脊髄運動ニューロンでコンディショナルにノックアウトすることにより個体死を避け、且つ運動ニューロンに選択的にGluR2 Q/R部位でのRNA編集を阻害し、細胞死を引き起こすことにより、ALSの脊髄運動ニューロンに見いだされた細胞死の原因となる分子変化に基づいたALSの動物モデル作成を試みた。ADAR2を失活させる目的で、活性部位をコードする遺伝子部位を2個のloxPで挟んだ遺伝子をベクターに組み込んだ上ES細胞に導入し、さらに目的遺伝子をマウス桑実胚細胞にマイクロインジェクションしキメラマウスを作成後、交配により、変異染色体を持つヘテロマウスADAR2-loxP^<+/->。およびホモマウスADAR2-loxP^<+/+>を得た。ADAR2-loxP^<+/+>と脊髄運動ニューロン選択的にCreを発現するVachT-Creマウスとを掛け合わせ、運動ニューロンにのみCreを発現する変異マウスVachT-CreFast/ADAR2-loxP^<+/+>及びVachT-CreSlow/ADAR2-loxP^<+/+>作成した。これらのマウスは、進行性の運動機能障害を起こし、脊髄でのGluR2 Q/R部位RNA editingが有意に低下していた。今後、系統を確立するとともに、運動機能、神経病理学的変化、RNA編集率の変化を経年的に測定し、ALSモデルとしての妥当性、有用性の検討を行う予定である。
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