研究概要 |
ヒト・アセチルコリンレセプターαサブユニット(CHRNA1)における75塩基からなるエクストラ・エクソンP3Aがpre-mRNAスプライシングにおいて含まれると機能を有さないP3A(+)αサブユニットが作られ、P3Aがスキップをすることにより機能を有するP3A(-)αサブユニットが作られる。エクソンP3Aの上流イントロンのGからAへの変異(VSI3-8G>A)によりエクソンP3Aがスプライシングにおいて常に認識をされ、機能を有さないP3A(+)αサブユニットが作られることを昨年度見出した。さらに、artificial mutationsの導入実験により、患者において同定をした遺伝子変異はintronic splicing silencerを破壊していることを昨年見出した。本年度は、この変異部位に結合をするスプライシングトランス因子の同定を試みた。UVクロスリンク後のSDS-PAGE、及び、免疫沈降法により、ポリピリミジントラクト結合タンパク(polypyrimidine tract binding protein, PTBP1)とhnRNP Hが変異部位に結合することが判明した。これらトランス因子の過剰発現によりエクソンP3Aの認識は抑制され、変異はこれらトランス因子のスプライシングに対する効果を減弱した。さらに、960種類のFDA既認可薬のスクリーニングにて、薬剤Aが有効であることを同定した。薬剤Aはスプライシングトランス因子PTBP1の発現を上昇させており、PTBP1プロモータ領域の薬剤反応シスエレメントを同定した。
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