研究課題
基盤研究(B)
WFS1欠損により膵ラ島の小胞体ストレス応答が亢進するWFS1欠損膵島では、PERKリン酸化の亢進、XBPlmRNAのスプライシング増強によるXBP1蛋白発現の亢進、ATF6の誘導によるシャペロン蛋白の発現増加が認められ、小胞体ストレス応答が亢進していることが観察された。翻訳抑制因子としてよく知られているeukaryotic initiation factor 4E(eIF4E)-binding protein(4E-BPs)のアイソフォームである4E-BP1の発現が著増しており、これが小胞体ストレスへの反応であることを見出した。WFS1は小胞体のカルシウム濃度の維持に重要な役割を果たしているWFS1欠損膵島では、グルコース刺激によるインスリン分泌が約30%低下しており、細胞質のカルシウム濃度変化も30-40%の低下を認めた。同様に、WFS1蛋白をノックダウンすると小胞体カルシウム濃度の減少が認められた。一方、WFS1蛋白を過剰発現させた膵島では、グルコース刺激によるインスリン分泌が35-50%増加し、小胞体カルシウム濃度が増加した。これらより、WFS1は小胞体カルシウムの恒常性の維持に重要な役割を果たしていると考えられた。WFS1は細胞周期にも関わるWFS1欠損膵島ではBrdUの取り込みが減少しており、β細胞の増殖障害が認められた。DNA microarrayを用いた検討から、細胞周期に関わる遺伝子p21cip1の発現亢進を見出した。さらに、単離膵島を小胞体ストレス下におくとp21cip1の発現が転写レベルで増強することを明らかにした。WFS1 associated proteinの同定と機能解析膵ラ島からWFS1を免疫沈降し、電気泳動後、質量分析にて結合タンパクを数種同定した。このひとつが、転写因子TFII-Iである。
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