研究課題/領域番号 |
17390259
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研究機関 | 筑波大学 |
研究代表者 |
島野 仁 筑波大学, 大学院人間総合科学研究科, 助教授 (20251241)
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研究分担者 |
高橋 昭光 筑波大学, 大学院人間総合科学研究科, 講師 (70344893)
中川 嘉 筑波大学, 大学院人間総合科学研究科, 講師 (80361351)
松坂 賢 筑波大学, 大学院人間総合科学研究科, 助手 (70400679)
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キーワード | インスリン抵抗性 / メタボリックシンドローム / 生活習慣病 / 糖尿病 / 転写因子 / インスリンシグナル / IRS-2 / TFE3 |
研究概要 |
我々は、インスリンシグナルを活性化する転写因子を想定し探索した結果、新規の転写因子TFE3を発見し 昨年度は主に肝臓における作用を動物で検討し、インスリンシグナルの増強を中心とした多彩な代謝作用を報告した。 本年度は、この新規転写因子のエネルギー代謝における詳細な生理機能を脂肪組織ならびに骨格筋のエネルギー代謝責任臓器におけるTFE3の機能を明らかにすることで、TFE3による生活習慣病の治療への応用を目指した。脂肪組織における機能解析に重点をおき解析を行ってきた。TFE3の過剰発現およびノックダウンのRNAiのアデノウイルスを作成し、マウス脂肪由来細胞3T3-L1へのそれらアデノウイルスを感染させ脂肪細胞分化に対する機能を検討した。 TFE3の過剰発現細胞では前駆脂肪細胞から成熟脂肪細胞への形態的な変化が阻害され、細胞の分化が抑制された。逆にTFE3をノックダウンした細胞においては細胞の分化は亢進した。遺伝子発現への影響を網羅的に検討したところ、分化を制御する諸遺伝子については形態の変化に伴い様々な影響を認めた。特に脂肪分化のマスター遺伝子であるPPARgおよびaP2(FABP4)についてはTFE3過剰発現では抑制されるのに対し、ノックダウンでは逆に発現は増強される。TFE3の直接的なターゲット遺伝子としていくつかの候補を得ているが詳細を検討中である。中でも、低酸素の際に発現が上昇するHIF-1aの遺伝子発現にTFE3が積極的に関与していることを明らかにしている。低酸素およびHIF-1aが脂肪細胞の分化を抑制する報告は複数あり、TFE3-HIF-1a経路が脂肪細胞の分化を制御の可能性を今後検討する必要がある。 また、現在、脂肪特異的発現TFE3マウスの作成が完了し、その表現系について、生活習慣病の治療の視点から解析を行っている。
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