研究課題/領域番号 |
17390262
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研究機関 | 滋賀医科大学 |
研究代表者 |
柏木 厚典 滋賀医科大学, 医学部, 教授 (20127210)
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研究分担者 |
前川 聡 滋賀医科大学, 医学部滋賀医科大学・医学部, 助教授 (00209363)
西尾 善彦 滋賀医科大学, 医学部, 講師 (40281084)
前田 士郎 理化学研究所, 遺伝子多型研究センター, チームリーダー (50314159)
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キーワード | 代謝症候群 / 果糖反応性遺伝子 / インスリン抵抗性 |
研究概要 |
我々はSREBP-1c遺伝子のプロモーター-468番塩基を中心とした塩基配列を認識する未知の転写調節因子が食事誘導性の肝SREBP-1発現に重要な役割を果たしている可能性を見いだし,この-468番塩基を認識する蛋白の同定を試みた。 I.SREBP-1c遺伝子のプロモーター-468番塩基を中心とした20塩基の2本鎖DNAに結合する核蛋白を抽出しMALDI-TOF MASS解析を行ない、RNA-binding potif protein chromosome X(RBMX)を同定した。 II.ラットヘパトーマ由来のFAO細胞にRBMXを過剰発現させたところ、SREBP-1cプロモーター活性は5-7倍増加した。反対に、siRNAを用いて内因性のRBMXの発現を抑制すると、sREBP-1cプロモーター活性は40-30%程度に低下した。 III.SREBP-1c遺伝子のプロモーター-468番塩基を中心とした20塩基をプローブとしたゲルシフト解析ではRBMX抗体により結合バンドが消失し、siRNAによっても同バンドが減少した。 IV.CBAマウスに高果糖食を4週間摂取させ、肝臓でのSREBP-1発現を亢進させた際、肝でのRBMXのmRNA発現は著変を認めなかったが、ゲルシフト解析でのシグナルは増加しており、RBMXの発現量ではなくDNA結合活性の変化が示唆された。 V.RBMXはGlcNAcによるO-結合糖鎖修飾を受けることが報告されているが、RBMXの過剰発現の際にGlcNAc合成の律速酵素であるGFATの阻害薬アザセリンを孵置するとSREBP-1cプロモーター活性の亢進作用は消失し、GlcNAcの孵置により回復した。 以上より、今回新たに同定したRBMXは果糖などの栄養素による遺伝子発現調節を担う因子としての役割が予想され、その機序として糖鎖による活性調節が示唆された。
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