研究概要 |
1.酸化ストレス、JNK経路活性化を介した転写因子PDX-1核外移行の分子機構の検討 (1)酸化ストレス、JNK経路の活性化を介した(膵β細胞の重要な転写因)PDX-1の核外移行のメカニズムとしてforkhead転写因子Foxo1の関与を検討した結果、酸化ストレスによって(PDX-1とは反対に)Foxo1は核内移行した。 (2)リン酸化抗体などを用いたwestern blot法にて検討した結果、酸化ストレスにより(インスリンレセプターの下流にある)PI-3 kinaseのリン酸化の低下が認められた。 (3)Wild type JNK発現アデノウイルスを高発現させることによってインスリンシグナルが低下し、Foxo1が核内移行することが見いだされた。またwild typeおよびdominant-negative typeのFoxo1発現アデノウイルス(Ad-WT-Foxo1,Ad-DN-Foxo1)を作製して検討した結果、酸化ストレスによるPDX-1の核外移行がAd-DN-Foxo1によって抑制されること、さらにAd-WT-Foxo1によりPDX-1が核外移行することが見いだされた。 2.膵β細胞機能障害におけるRho経路の関与に関する検討 さらに(JNK経路と深く関与することの知られている)Rho経路と膵β細胞機能との関係を検討した。 (1)RhoAの発現は、コントロールマウスと比べて(2型糖尿病モデルマウスである)C57BL/KsJ-db/dbマウスの膵島において強く認められることが、免疫組織染色にて確認された。 (2)(Rho-kinase阻害剤である)Y27632やfasudilを(膵β細胞株である)HIT細胞に投与することによりインスリンmRNA量の著明な増加が認められた。 (3)Rho-kinase阻害剤によりインスリンプロモーター活性の著明な増加もluciferase assayにて認められ、mRNA量の増加はプロモーター活性の増加によるものと考えられた。
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