研究課題/領域番号 |
17390270
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研究機関 | 慶應義塾大学 |
研究代表者 |
伊藤 裕 慶應義塾大学, 医学部, 教授 (40252457)
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研究分担者 |
山下 潤 京都大学, 再生医科学研究所, 助教授 (50335288)
海老原 健 京都大学, 医学研究科, 研究員 (70362514)
鈴木 聡 秋田大学, 医学部, 教授 (10311565)
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キーワード | ES細胞 / アドレメジュリン / Notch / VEGF / cAMP / 動脈 |
研究概要 |
我々は今回、血管においても産生されるアドレノメジュリン(AM)がNotchシグナルを介し血管前駆細胞の血管内皮細胞への分化および血管内皮細胞の動脈内皮への分化を誘導することを明らかにした。我々は以前、マウスES細胞をコラーゲンIVコートディッシュ上にて分化誘導を行うとVEGF-R2陽性細胞が出現し、VEGFの刺激によりこれらVEGF-R2陽性細胞から血管内皮細胞が誘導されることを報告している。これらVEGFの刺激のみでVEGF-R2陽性細胞から誘導される血管内皮細胞はCXCR4陰性ephrinB2陰性の静脈内皮細胞であった。しかし、VEGFにAMまたは8bromo-cAMPを加えることによりephrinB2陽性CXCR4陽性の動脈内皮細胞が誘導された。8bromo-cAMPを加えるとNotchの細胞内ドメインが増加しNotchシグナルの活性化が認められた。RBP-JノックアウトマウスES細胞においては、8bromo-cAMPを加えても動脈内皮細胞の誘導は認められなかった。また、Notchの細胞内ドメイの切断を阻害するγ-secretase inhibitorであるDAPTの添加によっても8bromo-cAMPによる動脈内皮誘導は阻害された。これらの結果から、AMはNotchシグナルを介して血管内皮細胞の動脈分化を促進することが示された。今回のマウスES細胞を用いた検討によって、AMはcAMPを介してNotchシグナルを活性化し、血管内皮細胞分化を促進しさらに血管内皮細胞の動脈分化を誘導することが示された。今回の検討より、今後VEGF、AM等の血管分化を促進する液性因子による血管再生治療と血管前駆細胞移植とを組み合わせることにより、より高効率な血管再生療法の確立が期待される。
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