研究課題/領域番号 |
17390270
|
研究種目 |
基盤研究(B)
|
配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 一般 |
研究分野 |
内分泌学
|
研究機関 | 慶應義塾大学 (2006) 京都大学 (2005) |
研究代表者 |
伊藤 裕 慶應義塾大学, 医学部, 教授 (40252457)
|
研究分担者 |
山下 潤 京都大学, 再生医科学研究所, 助教授 (50335288)
海老原 健 京都大学, 医学研究科, 研究員 (70362514)
鈴木 聡 秋田大学, 医学部, 教授 (10311565)
|
研究期間 (年度) |
2005 – 2006
|
キーワード | ES細胞 / メタボリックシンドローム / ホルモン / 内皮細胞 / 血管平滑筋細胞 / 脂肪細胞 / 再生医療 / アドレノメジュリン |
研究概要 |
メタボリックシンドロームおよびその合併症においては、増殖肥大した脂肪から分泌される生理活性ホルモン(アディポサイトカイン)の異常および高血糖、高血圧等に曝露された血管内皮細胞からの血管ホルモン分泌異常の双方が重要である。本研究は、メタボリックシンドロームにおける異常分化した脚肪細胞や血管構成細胞の機能是正、再生を目指し、無限の増殖性と全ての細胞に分化し得る多能性を有するES細胞(胚幹細胞)より同定した内皮細胞及び血管平滑筋細胞の双方に分化し、血管を構築できる"血管前駆細胞(Vascular Progenitor Cells ; VPC)"よりメタボリックシンドロームの病態に関わる細胞群の共通の前駆細胞、"間葉系前駆細胞"(Mesenchymal Progenitor Cells ; MPC)を同定純化し、さらにこの細胞を用いてメタボリックシンドローム新規ホルモンによる間葉系細胞分化異常の是正を目指した細胞分化再生治療の開発を目指した。 本年度の研究により以下の成果を得た 1.ヒトES細胞より、内皮細胞、血管平滑筋細胞および軟骨細胞、脂肪細胞への各細胞系譜に分化誘導できる培養法を見出した。 2.我々が血管再生作用を有することを報告した血管拡張ホルモンであるアドレノメジュリン(adrenomedullin ; AM)が、in vitroおよび我々が開発したAMトランスジェニックマウスへのVPCの移植実験より、in vivoの双方において、ヒトES細胞由来VPCから内皮細胞への分化を高効率に誘導することを明らかにした。 3.AMがマウス脂肪組織において高いレベルで発現していることが明らかとなった。脂肪組織内の脂肪細胞および非脂肪細胞ではほぼ同程度の遺伝子発現が認められた。 4.AM発現を認める2種類の脂肪細胞株とヒトES細胞由来VPCとの共培養において、VPCから内皮細胞への高効率の分化誘導が観察された。 5.AMはcAMPを介してNotchシグナルを活性化し、血管内皮細胞分化を促進しさらに血管内皮細胞の動脈分化を誘導することが示された。 今回の検討より、今後VEGF、AM等の血管分化を促進する液性因子による血管再生治療と血管前駆細胞移植とを組み合わせることにより、より高効率な血管再生療法の確立が期待される。
|