研究課題
メタボリックシンドロームはインスリン抵抗性、脂質代謝異常、高血圧を合併する病態で動脈硬化性疾患のcommonな発症基盤である。私たちは脂肪組織が多彩な生理活性物質を分泌する巨大な内分泌臓器であることを見出して、数々の新規遺伝子を発見し、アデイポサイトカインと概念付けた。本研究では、Adiponectin,Visfatin,Glycerolという3つの脂肪細胞分泌因子に焦点をあて、メタボリックシンドロームの病態を臨床的、実験的に解析するものである。平成18年度は以下のAdiponectinに関してひきつづき検討を行なった。その低下が動脈硬化性疾患の発症進展に関わることをこれまで臨床的、実験的に示してきた。血中濃度低下のメカニズムの一つとして内臓脂肪蓄積時に全身性に酸化ストレス物質が増加していることを示した(Circ J)。実験的にも蓄積した脂肪組織で酸化ストレス物質が増加しているが、アンジオテンシン受容体阻害剤が脂肪組織酸化ストレスを減少させ、Adiponectinを含めたアデイポサイトカイン分泌異常を改善することを明らかにした(Kid Int)。またAdiponectin欠乏は血管内皮機能にも影響を与え、ノックアウトマウスでは食塩感受性の高血圧をきたすことを明らかにし、メタボリックシンドロームにおける高血圧症発症の新しいメカニズムの一つを示した(Hypertension)。臨床的に低Adiponectin血症は冠動脈の複雑性病変と関連すること(JACC)、急性心筋梗塞発症後の血中濃度低下が、その後の生命予後にも関わることを示した(Atherosclerosis)。さらに最近注目されている慢性腎疾患(CKD)の心血管疾患リスクとしての意義も示した(Am J Cardiol)。
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