研究課題
白血病原因遺伝子Evi-1は難治性白血病との関連が知られており、その機能の解明は白血病の治療成績向上のための重要な課題である。生体内におけるEvi-1の機能を解析するため、Evi-1のexon4を欠失させたノックアウト(KO)マウス及びexon4をloxP配列で挟んだコンディショナルノックアウト(flox)マウスを作製した。Evi1-KOマウスは胎生13-16日に出血して死亡し、その胎仔肝では分化した血液細胞は認められるものの、Lin-Sca1+cKit+(LSK)などの造血幹細胞・前駆細胞を含む分画は著減しており、コロニー形成能、造血再構築能も著しく低下していた。次に、Evi-1^<flox/flox>マウスをインターフェロン依存的に造血細胞でCreを発現するMx-Cre Tgマウスと交配し、成体造血におけるEvi-1の機能を解析したところ、IFN誘導後4週にはLSK細胞の割合が約半分に減少した。この減少はIFN誘導後12週には回復したが、この時点での骨髄ではEvi-1欠失細胞の割合が低下しており、Evi-1の欠失を免れた細胞が増殖したものと考えられた。また、白血病キメラ遺伝子MLL-ENL及びE2A-HLFをEvi-1^<flox/flox>マウスから採取した骨髄に導入し、形質転換後にEvi-1の欠失を誘導すると、その増殖能が低下することを見出した。以上の結果により、Evi-1は胎生期および成体における造血幹細胞の維持・増殖に必須であり、同時に白血病細胞の増殖にも重要な役割を果たしていることが明らかとなった。
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