研究課題/領域番号 |
17390277
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研究機関 | 大阪大学 |
研究代表者 |
織谷 健司 大阪大学, 医学系研究科, 助手 (70324762)
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研究分担者 |
金倉 譲 大阪大学, 医学系研究科, 教授 (20177489)
松村 到 大阪大学, 医学系研究科, 助教授 (00294083)
冨山 佳昭 大阪大学, 医学系研究科, 講師 (80252667)
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キーワード | サイトカイン / インターフェロン / IFN-ζ / Limitin / アミノ酸置換 / 骨髄抑制 / Daxx / SUMO化修飾 |
研究概要 |
骨髄抑制が少ない点においてIFN治療に関する副作用軽減やIFN治療成績の向上が期待できるIFN-ζ/Limitinであるが、残念ながら、そのヒト型遺伝子は未だ同定されていない。我々は、マウスIFN-αとIFN-ζ/Limitin間のアミノ酸配列の違いを基に作製した変異IFN-α1(m1-IFN-α1〜m7-IFN-α1)とoriginal IFN-α1の生理活性の比較を行った。m3-IFN-α1(ループDE付近に3アミノ酸変異を持つIFN-α1)は、変異を持たないIFN-α1と同等の抗ウイルス活性を示すものの、CFU-IL7,CFU-GM,BFU-E各コロニー形成抑制作用が著明に減弱していた。さらに、m3-IFN-α1をマウスに注射した場合、IFN-α1注射時と異なり、Bリンパ球・赤芽球・骨髄球各前駆細胞数はコントロールと比べ変化を認めなかった。一方、m1-IFN-α1(ヘリックスC付近に4アミノ酸変異を持つIFN-α1)は、IFN-α1と比較して、より強い抗ウイルス活性を示すとともに同等の骨髄抑制作用を示した。即ち、本研究により、IFN-ζ/Limitinの特徴である骨髄抑制作用減弱および抗ウイルス活性増強に関わる責任アミノ酸を決定することが出来た。本研究成果は、IFN-ζ/Limitinの生理活性特徴を保持した人工的ヒトIFN-ζ/Limitin用蛋白の開発に繋がるものである。 我々は、IFNによる骨髄抑制作用にTyk2〜Daxxを中心としたシグナル伝達経路が重要であることを報告してきた。今回我々は、SUMO化を受けない変異Daxx KA(630と631番目のリジン残基をアラニン残基に置換)をBaF3細胞株に過剰発現すると、Daxxの細胞内局在が変化するとともにIFNによる増殖抑制も消失することを見出した。即ち、(1)IFN刺激後Daxx蛋白はUbc9とSUMO-1によりSUMO化修飾を受ける(2)SUMO化Daxxは核内に移行した後PMLなどと結合し転写活性を調節する(3)脱SUMO化されたDaxxは核内に留まれず細胞質へ移行する、ことを明らかにした。本研究成果は、IFNによる副作用軽減の治療戦略の確立に繋がるものである。
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