研究課題/領域番号 |
17390278
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研究機関 | 愛媛大学 |
研究代表者 |
安川 正貴 愛媛大学, 医学部, 教授 (60127917)
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研究分担者 |
酒井 郁也 愛媛大学, 医学部附属病院, 講師 (10205700)
薬師神 芳洋 愛媛大学, 医学部附属病院, 講師 (30294797)
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キーワード | 造血器腫瘍 / 白血病 / がん免疫 / 免疫療法 / 遺伝子治療 / 細胞傷害性T細胞 |
研究概要 |
造血器腫瘍に対する免疫遺伝子療法の開発目的で研究を遂行し、以下のことを明らかにした。 WT1特異的HLA-A24拘束性CTLクローンからTCR-αおよびTCR-β遺伝子を単離し、レンチウイルス発現ベクターを作製した。健常人末梢血CD4およびCD8陽性T細胞に遺伝子導入したところ、60~80%にTAK-1由来TCRの発現が確認された。TCR遺伝子導入CD8陽性T細胞は、HLA-A24拘束性に白血病細胞に対して細胞傷害性を示した。他方、CD4陽性T細胞もHLA-A24拘束性にTh1サイトカインを産生した。 新たな免疫不全マウスであるNOD/SCID/commonγ^<null>マウスにヒトCD34陽性造血幹細胞を移入したところ、マウス末梢組織において、ヒト顆粒球、赤血球、血小板に加えて、ヒト成熟T細胞とB細胞の存在が確認された。また同様に、抗原提示細胞として機能すると考えられる単球の存在も確認した。このマウスにOVAを免疫したところ、OVA特異的IgMに加えIgG産生も誘導できた。さらに、マウス脾臓リンパ球からアロ抗原特異的ヒトCTLが誘導された。 WT1ペプチドを9名、hTERTペプチドを9名に接種した。すべての患者でgrade2以上の有害事象は認められず、一部の症例で臨床効果が認められた。なお、臨床効果を認めた症例では、末梢血におけるペプチド特異的CTLの存在が、ELISPOTならびにHLA-peptide tetramerによって確認された。また、ペプチドワクチンの回数を重ねるにしたがって、その頻度が増し、中断によって減少することが示された。 これらの成果は、造血器腫瘍に対する効果的免疫遺伝子療法の開発に貢献できるものと思われる。
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