研究課題/領域番号 |
17390281
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研究機関 | 九州大学 |
研究代表者 |
原田 実根 九州大学, 大学院・医学研究院, 教授 (00019621)
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研究分担者 |
下田 和哉 九州大学, 大学病院, 助手 (90311844)
長藤 宏司 九州大学, 大学病院, 助手 (60343323)
原田 直樹 九州大学, 大学病院, 助手 (80404028)
石川 文彦 九州大学, 医学研究院, 共同研究員 (30403918)
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キーワード | 成人T細胞性白血病 / 原発性骨髄線維症 / 免疫不全マウス |
研究概要 |
成人T細胞性白血病(ATL)、慢性骨髄性白血病(CML)、慢性骨髄増殖性疾患(骨髄線維症)など、血液悪性疾患の進展メカニズムを明らかにするために、まずこれら疾患のモデルマウスの作成を行った。 ATLは慢性期またはくすぶり型と称される時期を経て急性型へと移行する、ATLの慢性期またはくすぶり型のCD4陽性細胞を、免疫不全マウスである新生児NOD/SCID/β2ミクログロブリン欠損マウスに移植した。数週間の経過でマウス末梢血にヒトのCD4陽性細胞が増加し、T細胞レセプターの遺伝子再構成が生じていた。また、リンパ節の腫脹、脾腫、肝臓への浸潤も認め、ATL急性型と同様な病態を呈した。また、慢性骨髄増殖性疾患である慢性原発性骨髄線維症患者のCD34陽性細胞を免疫不全マウスに移植すると、8過程度の期間でマウス骨髄は著明な線維化が生じ、脾腫などの髄外造血を生じた。このように、ヒト臨床検体を免疫不全マウスに移植し、ヒト体内では「年」の単位で生じる血液悪性疾患の進展が、マウス体内で「週」の単位で再現できる系を確立した。 慢性骨髄増殖性疾患である原発性骨髄線維症に関しては、Jak2の遺伝子変異が約40%の症例で観察される。293T細胞に、変異型または野生型Jak2、Stat5、Stat5の結合配列をタンデムにルシフェラーゼ遺伝子につないだStat5-Lucを導入したところ、変異Jak2は野生型Jak2に比べ、10倍以上Stat5の転写能を亢進した。次に変異Jak2をサイトカイン依存性細胞株であるBA/F3細胞に導入した。変異Jak2の発現によりStat5は(サイトカインの刺激がない状態で)活性化されており、サイトカイン非依存性に自律増殖した。
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