研究課題/領域番号 |
17390291
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研究機関 | 徳島大学 |
研究代表者 |
松本 満 徳島大学, 分子酵素学研究センター, 教授 (60221595)
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研究分担者 |
黒田 範行 徳島大学, 分子酵素学研究センター, 助手 (50359915)
押川 清孝 徳島大学, 分子酵素学研究センター, COE研究員 (50380051)
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キーワード | 自己免疫疾患 / MHC / AIRE / 胸腺上皮細胞 |
研究概要 |
胸腺上皮細胞によって提示される自己抗原には、1)class Iに提示される細胞内の内在性自己抗原と、2)循環血流に乗って胸腺に入り、胸腺上皮細胞によって細胞内に取り込まれた後、ペプチドへのプロセッシングを経てclass IIと結合した形で細胞表面に提示される自己抗原の2種類がある。本研究では、AIRE欠損(あるいは変異)にともなう胸腺上皮細胞上に提示される自己抗原の質的な変化をclass I、class II経路の両者について検討を開始した。 すなわち、class II経路については野生型、および疾患変異体(E3 ligase欠損変異)のAIRE遺伝子を導入した胸腺上皮細胞株からclass II結合ペプチドを溶出し、プロテオミクスの手法を用いて、そのプロファイリングを作成・比較し、AIREによる自己抗原ペプチド創出機構の存在を明らかにすべく、細胞を大量培養し、class IIに対する抗体を用いて免疫沈降実験を開始している。他方、class I経路を介した内在性自己抗原の表出に対するAIREの効果については、WT1(Wilms'tumor)を自己抗原として細胞表面に表出するヒト肺癌細胞株(LK79:HLA-A24陽性)を用いるべく、準備を進めている。すなわち、野生型、および疾患変異体AIREを発現するLK79細胞株を樹立し、AIRE依存的な細胞表面でのWT1発現状態をHLA-A24拘束性WT1特異的CD8陽性T細胞株への反応性によって評価する予定である。さらに、これらの細胞株について、AIREに依存した自己抗原表出変化のメカニズムを細胞膜分画の2次元電気泳動(differential analysis)によって明らかにすべく、泳動条件についても予備実験を開始した。 以上の研究の進展により、AIRE依存性に胸腺上皮細胞上で変動する蛋白が同定できれば、APECED発症機構の解明に有力な手がかりとなるのみならず、negative selectionに関わる分子機構の本態に迫ることができる。
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