研究課題
本研究の目的は、GATA-1の変異による白血病発症の仕組みを分子レベルで明らかにすることである。具体的には、以下の3点に焦点を絞り研究を進め、以下の点を明らかにした。1.GATA-1遺伝子がダウン症のTMDとAMKLで高頻度に遺伝子変異を起こす仕組みを解明。ヒト21番染色体を持つダウン症モデルマウス(鳥取大学医学部 押村光雄教授との共同研究)で脾腫を発生したマウスの脾臓からRNAを抽出し、GATA1の遺伝子変異を解析した。しかし、これまでのところ、GATA1の遺伝子変異は見られていない。2.変異GATA-1が、巨核球の分化を障害し、白血病を発症させる仕組みを解明。ダウン症のAMKL細胞株CMK(細胞は変異GATA-1のみが発現している。これに正常GATA-1遺伝子を過剰発現させた細胞株と親株における遺伝子発現量の差を、DNAマイクロアレー法で解析し、いくつかの発現量に有意差のある遺伝子を同定した。1.変異したGATA-1と協同して白血病発症の過程で働く21番染色体上の遺伝子を同定。最近、Elagib等はAML1(RUNX1)がGATA-1のN末端転写活性化ドメインで結合し、ダウン症のAMKLで発現している変異GATA1がRUNX1と結合しないことを示唆した。これを検証するとめに、我々は、FLAGでtagしたAML1b発現ベクターと完全長のGATA-1およびN末端転写活性化ドメインを欠くGATA-1発現ベクターをCOS-7細胞に遺伝子導入し、共免疫沈降法で解析した。その結果、意外にも変異GATA1はRUNX1とZinc fingerドメインを介して、結合することが明らかとなった。従って、GATA1sがAML1と結合できないというこれまでの説を否定することができた。
すべて 2005
すべて 雑誌論文 (3件)
Cancer Res 65
ページ: 7596-7602
Blood 105
ページ: 3100-3108
Leukemia 19・10
ページ: 1843-1844