研究課題/領域番号 |
17390296
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研究機関 | 筑波大学 |
研究代表者 |
須磨崎 亮 筑波大学, 大学院人間総合科学研究科, 教授 (40163050)
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研究分担者 |
松井 陽 筑波大学, 大学院人間総合科学研究科, 教授 (00159146)
有波 忠雄 筑波大学, 大学院人間総合科学研究科, 教授 (10212648)
島野 仁 筑波大学, 大学院人間総合科学研究科, 助教授 (20251241)
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キーワード | Notch / Hes1 / pancreas / 糖尿病 / 幹細胞 / 生活習慣病 / インスリン / diabetes |
研究概要 |
1.昨年度に引き続いて、Notchシグナルの胆管系と膵臓の器官分化における意義を検討した。本年度はとくに、膵臓のランゲルハンス島形成におけるHes1の役割について解析した。【方法】Hes1過剰発現マウス(膵臓幹細胞や胆管原基に発現する転写因子Pdx1のプロモーター制御下に、Hes1とEGFPを発現するトランスジェニックマウス)のランゲルハンス島の形成状態を検討し、膵臓の発生過程を解析した。さらに、一部の遺伝子組み換えマウスで糖尿病を発症するので、その病態についても検討した。【結果】Hes1過剰発現マウスでは、Hes1の発現量により膵臓幹細胞の分化の方向性や程度が大きく変化した。(1)Hes1の高発現ラインマウスの膵臓では未分化な膵管のみが形成され、膵実質細胞は全く発生しなかった。このマウスは出生時から高度の高血糖を示し、出生後1週間以内にすべて死亡した。このマウスの膵臓幹細胞では未熟性を示すマーカーであるPdx1、βカテニン、Glut2などが出生後も陽性を示した。(2)Hes1の過剰発現が低レベルの場合は、ランゲルハンス島の形成が不十分でIslet Cell Massが減少していた。本研究ではHes1の過剰発現が比較的低レベルのマウス3ラインを詳細に解析した。これらの3ラインの中では糖尿病を発症するマウスが出現した。とくにIslet Cell Massの減少度が著しいマウスでは、新生児期からインスリン欠乏性の糖尿病を発症した。また個々のβ細胞機能には大きな異常はないことから、インスリン欠乏はIslet Cell Massの減少によると推測された。 2.本年度は肝臓発生の障害によって起こる進行性家族性肝内胆汁うっ滞症(PFIC)1型並びに2型を鑑別するための遺伝子診断系の開発を開始した。とくに、これらの遺伝子の構造は大きく、変異のホットスポットも認められないため、より簡便なWAVEシステムを利用して遺伝子変異を検索する方法を採用した。これにより、肝移植前に移植後経過の良否が推測できるので、臨床的意義は大きいと期待される。
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