研究課題
GM-CSFによるメチル化誘導機構をGM-CSF依存性白血病細胞株であるMO7e細胞株を用いて検討した。MO7eのp15のプロモーター領域の27個のCpG sitesはGM-CSF存在下でほとんどすべてのallelleがメチル化されていた。GM-CSFとFBSを除去すると、time-dependentにメチル化率は低下した。GM-CSF非存在下で48hr培養後、GM-CSFを再添加するとメチル化率は増加し、24hr後ほぼすべてのalleleはメチル化された。p15の蛋白質はメチル化率と逆相関していた。これらの結果は、正常顆粒球系造血におけるp15のメチル化機構と類似していた。GM-CSFとFBS非存在下で48hr培養後にGM-CSFを再添加する系に、5-aza-2'-deoxycytidine(5-Aza)10^<-6>MあるいはTrichostatin A(TSA)10^<-6>Mを同時に加えるとメチル化率は部分的に抑制された。5-AzaとTSAの両者を同時に添加すると、メチル化は完全に消失した。これらのことから、GM-CSFはDNMTとHDACの単独或いは両者を用いてメチル化を誘導することが明らかとなった。MO7e細胞をmediumで72hr starvation,24hr5-Aza+TSA処理するとp15のメチル化はすべて非メチル化になった。そこでGM-CSFがde novo methylationを誘導できるかどうかを検討した。すべてp15の非メチル化となった細胞にGM-CSFで添加すると半分近くのalleleがメチル化を起こした。このことからGM-CSFはde novoメチル化誘導能を有する判明した。これらの結果から、1)MO7e細胞はGM-CSFによるp15遺伝子のメチル化を検討するのに有用であった。2)GM-CSFはDNMTとHDACを単独あるいは両者を用いてde novoメチル化を誘導することが明らかとなった。
すべて 2005
すべて 雑誌論文 (4件)
Cytokine 31
ページ: 203-212
Leukemia Res 29
ページ: 1069-1072
Br J Haematol 128
ページ: 805-812
Blood 105
ページ: 3442-3448