研究課題
骨髄異形成症候群(MDS)は、造血幹細胞の異常に起因する代表的な小児科領域の難治性血液疾患で、若年性慢性骨髄性白血病(JMML)は最も多い病型である。MDSやJMMLにおいて高率に認められる遺伝子点変異を検出しうるmutant allele-specific PCR(MASA)法が、MRD検索として有用であるか否かを検討した。3'末端から2塩基上流にlocked nucleic acid(LNA)を、1塩基上流にミスマッチ塩基を挿入した遺伝子変異検出用プライマーを作成し、腸管型ベーチェット病を併発したtrisomy8とPTPN11遺伝子異常(227A>C)を伴う骨髄異形成症候群(RAEB-M6)症例に対してMASAを行った。その結果、50サイクルの増幅にもかかわらず正常対照の骨髄検体からはまったくPCR産物は得られなかった。一方、患者骨髄検体からは明瞭な異常バンドが検出された。ゲノムDNA定量PCR法で経時的に解析したところ、化学療法後にMRDの減少が認められ、骨髄移植後83日目にMRDは検出感度以下となった。検出感度は、異常細胞/正常細胞比が1/10^5であった。このMASA法は、他のPTPN11遺伝子異常やRAS遺伝子異常を有する8例でも高感度のゲノムDNA定量が可能であった。本法は、MDSだけではなく、急性骨髄性白血病にも応用は可能であり、汎用性の高いMRD検出法として利用できる可能性を示している。
すべて 2007
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