研究課題
基盤研究(B)
我々はこの2年間でγセクレターゼによるRAPPおよびNotchの膜内切断の詳細について明らかにした。具体的には(a)NotchなどのRIPシグナル伝達を阻害せずにAβ産生を阻害するような「第二世代γセクレターゼ阻害薬」の候補としてcompound Wを開発し(Okochi,2006)、そこでこの作用機序がNSAIDの特徴であるCOX阻害と関連のないことを明らかにした。さらに、βセクレターゼによる蛋白分解はAβ産生と同時にAβ分解にも寄与しているが、この機構について研究し、AβなどのBACE酵素の基質ペプチド誘導体のうちAβの29-40ペプチドにβセクレターゼ阻害作用が強いことを明らかにした(Tagami,ICAD meeting 2006)。最後に、我々が以前からカを入れている「新規ノッチβ蛋白(Nβ)がAβと同じメカニズムで切断され放出されることを利用してアルツハイマー病の予期診断マーカー応用の可能性」について検討するためNβペプチドを特異的に高感度で認識するELISAシステムを作成した。それらの研究成果を得る実験の途中でβ-secretaseを直接阻害章ずにΒappのβ-cleavageを阻害する新しい作用メカニズムでA・産生を阻害する薬剤OSXを開発した(Okochi,ICAD meeting 2006)Notch蛋白の段階的蛋白分解とシグナル伝達機構がこれと全く同じ機構を共有して行われていることを明らかにしてきたが、今後はこれらの研究成果をアルツハイマー病診断治療薬開発につなげることを目標としている。具体的に、「第二世代γセクレターゼ阻害薬」候補であるcompound WはADMEのプロファイルからも新規薬剤としての可能性があることが明らかになったため、compound Wを用いて「NSAIDなどのγセクレターゼ修飾薬」の作用機序を明らかにし、その作用がNSAID作用と関連のないものであることを評明した。Aβの部分ペプチド誘導体のβセクレターゼ障害作用について検討し薬剤として開発可能であるかどうか検討しAβの部分ペプチドにAβ産生阻害作用があるという結果を得た。
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