研究課題/領域番号 |
17390319
|
研究機関 | 神戸大学 |
研究代表者 |
白川 治 神戸大学, 大学院・医学系研究科, 助教授 (40243307)
|
研究分担者 |
前田 潔 神戸大学, 大学院・医学系研究科, 教授 (80116251)
西口 直希 神戸大学, 大学院・医学系研究科, 助手 (10362774)
上野 易弘 神戸大学, 大学院医学系研究科, 教授 (30184956)
|
キーワード | 自殺 / 生物学 / 遺伝子多型 / 遺伝子発現 / 扁桃体 / 神経内分泌 / 神経画像 / 認知機能 |
研究概要 |
本年度は、臨床評価・性格評価・神経心理学的評価に関する評価法の選定と試行とともに、生物学的指標としての機能的遺伝子多型の選定、fMRIにおける神経心理学的課題の選定と予備実験を行った。DNA chip法による自殺者脳扁桃体においてmRNA発現のプロファイリングを行い、減少が顕著であった遺伝子を21個、増加が顕著であった遺伝子を9個同定した。自殺者で増加が顕著であった遺伝子のうち14-3-3εについて複数の多型を用いて相関研究を行い、自殺と有意な相関を見出し、その成果を国際誌に発表した(Yanagi M, et al. J Human Genetics 50(4):210-216 2005)。現在、減少が顕著であった遺伝子について相関研究を進めている。さらに、視床下部-下垂体-副腎皮質系(HPA系)に影響与える機能的遺伝子多型にも着目し、OPRM1Asn40Asp、ACE I/D多型などで有意な相関を見出したことから(現在投稿中)、神経内分泌学的評価としてデキサメサゾン抑制試験を採用し、これら機能的多型とデキサメサゾン非抑制との関係を明らかにすべく臨床研究を開始している。臨床研究では、自殺企図歴の有無を指標に主として気分障害患者における臨床評価の内容(気分障害の下位分類評価、双極性成分の評価、絶望感の評価、衝動性・攻撃性の評価、死生観の評価など)、性格評価(NEO-FFI)、神経心理学的評価の選定と試行を行った。さらに、fMRIにおける神経心理学的課題の予備的検討として、1、情動を伴う概念単語を刺激とした課題を作成し、「陰性の情動単語」認知時には「中性の情動単語」認知時に比べ、扁桃体や後部帯状回に強い賦活傾向が示された。2、「過去のnegative episode想起」「過去のpositive episode想起」「将来のnegative episode想像」「将来のpositive episode想像」からなるfMRIの課題を作成し、前頭葉内側、右背外側前頭前野、後部帯状回などの賦活傾向を認めた。
|