研究課題/領域番号 |
17390329
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研究機関 | 金沢大学 |
研究代表者 |
川井 恵一 金沢大学, 医学系研究科, 教授 (30204663)
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研究分担者 |
石田 康 宮崎大学, 医学部, 教授 (20212897)
間賀田 泰寛 浜松医科大学, 光量子医学研究センター, 教授 (20209399)
天満 敬 京都大学, 薬学研究科, 助教 (90378787)
河嶋 秀和 京都大学, 医学研究科, 助教 (70359438)
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キーワード | 神経変性疾患 / 早期検出 / 再生医療効果判定 / 放射性診断薬 / 神経化学的評価 |
研究概要 |
近年、精神疾患や痴呆等の治療法としての再生医療の確立が望まれている。これらの推進には、神経変性過程の早期に変化し発症に至る神経機能の先行指標を見い出すと共に、再生医療の効果判定における最も鋭敏な指標を明らかにする必要がある。本研究では、種々の脳内神経変性疾患モデル動物による再生医療の効果判定を目的として、神経変性後の移植モデルにおいて、神経機能との関わりが深い放射性診断薬を用いて同一個体における機能変化を評価し、行動薬理・免疫組織化学的評価と比較して病態発症及び機能回復との相関を明らかにする。 6-ヒドロキシドーパミンによる偏側神経破壊パーキンソン病モデルラットを用い、発症過程にみられる脳内ドーパミン神経機能変化をドーパミンレセプターリガンドやドーパミン前駆物質誘導体等のPET製剤投与により解析した。その結果、大脳皮質や小脳では、無処置側に対する処置側の集積比に変化は認められなかったが、線条体では、D1レセプターは急性期には変化せず、発症期に微増した。 D2レセプターでは急性期から顕著な増加がみられ、発症期にはさらに増加した。ドーパミン動態では急性期に低下し、発症期に回復傾向が認められた。これらの変化は、行動薬理試験や免疫染色の結果とも相関しており、発症過程の先行指標になり得ると考えられた(Neurosci.Lett,389:30-34,2005)。 そこで、本法の再生医療効果判定への応用を試みるために、上記偏側神経破壊パーキンソン病モデルラットの破壊側線条体に胎仔中脳ドーパミン神経細胞を移植した移植群と疑似移植群を用いて、回転運動の観察により移植による代償及び機能的亢進を評価した。昨年までは、移植群中の個体差が大きく、疑似移植群と有意な差が認められず、再現性の点で問題があったが、行動薬理試験および免疫染色による機能回復に一定の効果が得られるようになった。そこで、PETによるドーパミン神経機能評価に加えて同一個体のX線CTや脳血流測定を行える研究体制を整え、機能回復過程における神経機能変化のより詳細な評価を実施した。
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