研究概要 |
前立腺癌の高線量率組織内照射の治療計画は、ごく単純化すると線源停留位置の選択と、個々の線源停留位置の線源停留時間の調整に集約される。線源停留位置に関して、従来のように円筒形に線源配置を行うよりも、前立腺の形状に合わせて配置を行うほうが線量分布が良好となることは十分予想されたが、これを仮想計画の統計学的比較により証明した。次に、線源停留時間の調整には、従来用いられてきたGeometric optimization法やDose-point optimization法よりも、ターゲットおよび危険臓器の線量制限を行うInverse optimization法のほうが良好となることも予想されたが、これも統計学的に証明した。従って、現在の市販ベースの治療計画法では、前立腺の形状に合わせた線源停留位置により、Inverse optimization法を用いるのが最良であると結論した(Radiother Oncol 75:311-317,2005)。 しかしながら現行の市販ベースのInverse optimization法のアルゴリズムが最良である保証は無く、我々が研究している引力斥力モデルを用いて市販のものと比較を計画した。まず引力斥力モデルが前立腺癌高線量率組織内照射に適用可能かを検討した。その結果、適用可能であった(日放腫会誌17:177-186,2005)。さらに、引力斥力モデルを用いたInverse optimization法でも、従来法のGeometric optimization法より優れることを示した(Int J Radiat Oncol Biol Phys 64:643-649,2006)。今後はInverse optimizationの内で、どのアルゴリズムが優れるかの比較研究を予定している。また、あわせて臨床結果の解析と公表を予定している。
|