研究課題
1)移植肝の血管内皮上の血液型抗原の入れ替わり(血管内皮細胞キメラ)とその経時的変化(Liver Transplantation(以下LT)2005;11:547)、2)肝移植後液性拒絶におけるC4dとIgG沈着による肝sinusoid血管内皮炎とそれに続く循環障害を明らかにし(LT 2006;12:457)、3)リンパ節や脾臓でおきる液性拒絶時のBリンパ球免疫応答を末梢血中メモリーBリンパ球の変化で経時的にとらえることに成功した(LT 2007;13579)。この研究成果を元に抗CD20抗体を臨床に導入した。成人ABO血液型不適合肝移植ではいまだ30%に液性拒絶がみられた。Bリンパ球免疫応答をモニターしながら抗CD20抗体の至適投与方法を開発・確立した結果、16名中液性拒絶は根絶された。一方、25%が感染症で死亡したので、本研究の四半後期は感染症に対する免疫能評価法に重点を移した。生体防御に関わる細胞は多々あるが、CD8陽性細胞に着目した。肝移植症例において、術前のCD8陽性細胞のなかでナイーヴ細胞とエフェクター細胞とエフェクターメモリー細胞の比率でクラスター解析を行ったところ小児2群成人3群の5群に分類され、臨床短期経過との関連を詳細に検討した。その結果、ナイーヴ細胞が多い成人症例群に比較しエフェクター細胞の比率が高い成人症例群において、感染症発生率と死亡率が高かった。4)術前のCD8陽性細胞分化様式が術後免疫予備能に深く関わることを明らかにした。さらに術後感染症合併症例でエフェクター細胞の比率が感染初期には増加し生体防御脳が破綻するにつれて低下することを示し(LT 2006;12:792)、5)CD8陽性細胞分化様式が術後免疫能をリアルタイムに評価する可能性を示唆した(LT 2007;13:287)。
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