研究概要 |
生体肝臓における肝前駆細胞のOval cellsと小型肝細胞の関係について検討した。 CD44を小型肝細胞マーカー、Thy1をオーバル細胞マーカーとしてD-Gaiactosamine(GalN)肝障害モデルラットにおける発現を調べ、Thy1陽性オーバル細胞の一部はCD44陽性であることを明らかにした(Kon, et al.J.Hepatology, 2006)。ガラクトサミン(GalN)をラット腹腔内に投与し、2日目の肝臓から単離したThy1陽性細胞はCD44陽性小型肝細胞コロニーを形成しなかったが、投与後3日目から単離したThy1陽性細胞はCコロニーを形成した。また、GalN投与後3日目から単離したThy1陽性細胞をコラーゲンサンドイッチし、デキサメサゾン(-)HGF(+)の培養液で一ヶ月培養すると胆管構造を形成した。GalN投与ラット肝臓より調整したDPPIV陽性CD44またはThy1陽性細胞をDPPIV陰性Retrorsine/PHラットへ移植すると、DPPIV陽性細胞巣の数はCD44陽性細胞移植群がThy1移植群より優位に多く、またその平均面積も大きかった。 ラット小型肝細胞に特異的に発現しているCD44は細胞外基質のヒアルロン酸のレセプターである。小型肝細胞分離の純度を上げることを目的にヒアルロン酸コート培養皿上に成熟ラット肝臓から分離した小型肝細胞分画の細胞を播種し、無血清培養液で培養すると、80%以上の純度で小型肝細胞を選択的に培養することが可能になった(Chen, et al.Nat Protocols, 2007)。また同様の方法を用いることにより、正常ヒト肝組織からヒト小型肝細胞を分離し、コロニー形成させることに成功した。
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