研究課題
本研究では現在補助人工心臓が抱えている様々な問題点を総合的に解決した2年間以上の安全な使用を可能とする次世代の補助人工心臓システムの開発と実用化をはかり、重症心疾患患者の救命・社会復帰の実現を目的とする。本年度は主に以下の点について検討を行った。(1)血液ポンプ空気圧駆動方式のダイアフラム型血液ポンプの試作を通じて製作技術の開発を行った。抗血栓性を考慮した材料の選定、血液接触面の表面処理、シームレスな構造の実現、長期耐久性などを考慮し、製作技術の確立を図った。従来、血液ポンプの性能、完成度は製作作業者の熟練技術などに大きく依存し、実用化、製品化における大きな障害となっていた。本研究ではこれらの点にも注目し、これらの影響を受けにくく再現性のある製作技術の開発を行った。(2)駆動装置従来の空気駆動式補助人工心臓用駆動装置は血液ポンプを駆動するための空気圧をコンプレッサーやバキュームポンプで発生させる機構を採用しているため、大型、高重量、高消費電力といった問題点を抱えており、患者の行動の自由を妨げ、生活の質を低下させる大きな要因となっていた。そこで本研究では、コンプレッサーやバキュームポンプを使用しないで空気圧を発生させる機構について基礎検討を行った。ピストンエアーシリンダを用いた非常に単純な空気圧発生機構に注目し、駆動装置の試作を行い、模擬循環回路を用いて現在臨床で使用されている血液ポンプを従来の駆動装置を同様に駆動できる基本性能を有していることを確認した。試作した駆動装置のコアとなる機構部分の重量は約1.8kgであり、今後バッテリーや監視制御用の電子回路を含めて、装着が可能な重量を目標にシステムの構築を行っていく予定である。
すべて 2006 2005
すべて 雑誌論文 (6件)
第34回人工心臓と補助循環懇話会
ページ: 48
人工臓器 Vol.34,No.2
ページ: S-91
ページ: S-140
ページ: S-117
Artificial Organs Vol.29,No.9
ページ: 727
ASAIO Journal Vol.51,No.2
ページ: 2A