研究課題
基盤研究(B)
1.劇症肝炎における肝幹細胞の解析劇症肝炎時に出現する肝幹細胞はreactive ductules(RDs)であると考えられている。Cellular senescenceを解析することによりこれら細胞群は周囲肝細胞、胆管細胞より明らかに幼弱であり今までの報告を裏付けるものとなった。Integrinの解析からは正常胆管と似通った発現パターンを呈するものの、β-1,α6 integrinの発現増加、α5 ingegrinの低下を認めるといった特徴を認めた。またこれらの細胞群でのNCAM,c-metの発現増強を認めた。さらにCD133,DLKの特異的発現が確認された。2.肝幹細胞周囲の細胞群の同定、周囲matrixの構成の解析RDsはlamininに富んだmatrix内に存在し、常にαSMA陽性細胞と近接していた。またRDsから肝細胞への分化が見られる領域において特異的にTGF α,TGF β1の発現の増強を認め、それらの受容体の発現がRDsに増強されていた。周囲の環境と細胞に発現する因子との間に密接な関係があり、肝幹細胞群の増殖・分化には環境因子が重要な役割を果たしていることが推測された。3.肝幹細胞としての骨髄細胞の役割の解析骨髄細胞と肝組織幹細胞の一つであるova1細胞との関係について検討した。GFPの骨髄を同系統のラットに骨髄置換し、choline-deficient echionine-supplemented;CDE飼料を投与しoval細胞を誘導した。その結果、約3%と少数ではあるが、骨髄細胞由来のoval細胞が存在し、これらの細胞は骨髄細胞とoval細胞の細胞融合により発生することを証明した。さらに、肝発癌と骨髄細胞の関係も検討したが、当モデルにおいては、骨髄細胞、および骨髄細胞と細胞融合したoval細胞と肝発癌に明らかな関係は認められなかった。
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