研究課題
先行した「進行食道癌患者に対するNY-ESO-1蛋白を用いたワクチン療法第一相臨床試験」を終了した。ワクチンにより重篤な副作用は見られず、ほぼ全例においてNY-ESO-1特異的抗体価の上昇とCD4,CD8T細胞の反応が誘導された。臨床所見では、食道癌8症例においては、ほぼ腫瘤が完全消失した1例、腹腔内腫瘤に対しては無効であったが胸腔内腫瘤が縮小した2例が観察された。また、前立腺癌4症例では、血中PSA値が3例において反応し、悪性黒色腫1症例においては腫瘤のアポトーシスが観測された。これら結果を元に、NY-ESO-1ワクチン療法を術後アジュバントとして使用する計画を立てている。NY-ESO-1ワクチン療法を術後アジュバントとして使用するため、対照症例の検討を行った。対象を進行食道癌術前化学療法後根治術施行症例とした時の無再発生存曲線を作成し、40例においてNY-ESO-1発現の有無にて比較した。切除標本中の転移リンパ節数が4個以上の症例では、術後1年以内に約80%が再発した。これら症例に対してワクチン投与を行い、この無再発生存率の改善を目指す。実際には、この対照無再発生存曲線と、ワクチン症例の無再発生存曲線とを比較することとなる。また、臨床試験を遂行しながら、ワクチンを投与しない症例を対照群に加えていくこととなる。術後アジュバントとして使用するためのNY-Eso-1組換え蛋白は、NYのLudwig癌研究所において新たに作成中であるが、昨年10月作成したNY-ESO-1蛋白80mgにエンドトキシンの混入が見られ、再作成後投与する。
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International Journal of Cancer (In Press)
Sugery Frontier 3(13)
ページ: 35-39