研究分担者 |
板倉 光夫 徳島大学, ゲノム機能研究センター, 教授 (60134227)
副島 雄二 徳島大学, 大学院ヘルスバイオサイエンス研究部, 非常勤講師 (30325526)
藤井 正彦 徳島大学, 大学院ヘルスバイオサイエンス研究部, 非常勤講師 (20380040)
居村 暁 徳島大学, 大学院ヘルスバイオサイエンス研究部, 助手 (90380021)
森根 裕二 徳島大学, 医学部・歯学附属病院, 助手 (60398021)
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研究概要 |
【背景・目的】成人間生体肝移植において,過小グラフトは移植後胆汁うっ滞や遷延性腹水をおこし,ときにグラフト機能不全,患者死亡につながる.本研究では過小グラフト肝移植後のグラフト機能不全の機序解明とともに,グラフト不全の回避法を開発した.【方法・結果】1.薬剤の過小グラフトに対する効果(再生への影響)(1)胆汁分泌促進,排泄促進作用による肝機能改善,肝炎モデルにおける肝細胞のアポトーシス阻害が知られている菌_蒿湯(ICKT)投与により,肝逸脱酵素上昇の早期改善,早期の肝再生促進および有意な生存改善を認めた.またPCNA, HO-1発現増強,αSMA発現抑制を認めた.(2)Cyclosporine A(CyA)術前投与が肝再生に対する影響について70%肝切除モデルを用いて検討し,CyA群の有意な肝再生率増加を認めた.過小グラフトモデルでもCyA血中濃度上昇は軽微であった.(3)FK506は有意な肝再生率増加を認めるが,FK506は血中濃度が上昇していた.(4)Fluvastatinの術前投与により,肝再生増強効果を確認するとともにT-Bi1値の減少を認めた.また免疫染色においてα-SMAの発現抑制を認めた.2.高圧酸素療法(HBO)の肝保護効果:肝移植後のHBO, HBO preconditioning後の肝保護効果とそのメカニズムである血管新生因子やHeat shock protein(HSP)発現誘導について検討した.移植後肝においては血管新生因子であるVEGFの発現が亢進していた.HBO preconditioning後の肝臓ではHSP70発現が亢進していた.3.脾摘の効果:過小グラフトモデルでは,摘脾群において有意な生存率の改善を認めた.さらにPCNA発現亢進を認め,細胞増殖が亢進していることを証明した.【まとめ】過小グラフトのメカニズムの解明とその調節により,移植後肝保護効果と生存率の改善が認められた.これらの結果をもとに,病態に応じた対策をとることにより肝移植後過小グラフトの成績を向上させることができると考えられた.
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