研究概要 |
本研究では血管新生に関与するCCNシグナルとAngiopoietin/Tie2シグナルの2点を中心とした解析を行なっている。 1.CCNシグナル分子の解析 CCNファミリー蛋白はIGFBPドメイン、VWCドメイン、THBSドメイン、CKドメインから構成されている。我々は癌組織の高発現遺伝子として、VWCドメインを欠損するCCN4v、THBSドメイン、CKドメインを欠損するCCN6vをクローニングした(GenBank登録AB034725,075040)。CCN2蛋白はVWCドメインによってTGF-beta蛋白と結合し、TGF-betaシグナルを増強することが報告されている(Nat Cell Biol 2002)。本研究ではCCN4とTGF-betaシグナルの相互作用を解析した。TGF-betaシグナルはCCN4によって増強されるが、CCN4vでは増強されないことを見い出した。CCN4-VWCドメインはCCN2-VWCドメインとアミノ酸配列で70%homologyがあり、TGF-betaはCCN4-VWCドメインと結合することを明らかとした。現在、血管内皮培養系およびマウス腫瘍モデルを用いて、血管新生相互作用の解析を進めている(Tanaka. Chapter 16. "CCN proteins" Imperial College Press,2005)。 2.Angiopoietin/Tie2 シグナル分子の解析 肝細胞癌臨床検体から新規血管新生遺伝子Angiopoietin-2をクローニングした(GenBank 登録 AB009865)。本研究ではAngiopoietin-2発現機序を解析した。ヒト肝癌培養細胞において、低酸素によりVEGF, erythropoietinは発現誘導を認めたが、Angiopoietinの発現は誘導されず、またHIF-1 alpha遺伝子導入でもAngiopoietin発現は認められなかった。現在、炎症性サイトカイン群により発現解析を進めている。
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