研究課題/領域番号 |
17390379
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研究機関 | 大阪大学 |
研究代表者 |
松宮 護郎 大阪大学, 医学系研究科, 助手 (20314312)
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研究分担者 |
松田 暉 大阪大学, 名誉教授 (00028614)
澤 芳樹 大阪大学, 医学系研究科, 教授 (00243220)
福嶌 教偉 大阪大学, 医学系研究科, 講師 (30263247)
市川 肇 大阪大学, 医学系研究科, 助手 (60303939)
舩津 俊宏 大阪大学, 医学系研究科, 助手 (80379239)
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キーワード | 重症心不全 / 細胞移植 / bridge to recovery / 筋芽細胞 / 骨髄単核球細胞 / 補助人工心臓 |
研究概要 |
従来の治療が奏功しない末期重症心不全に対しては心臓移植や左室補助人工心臓(LVAD)などの置換型治療が有効であるが、ドナー不足や感染症、合併症や耐久性の問題があり満足のいく結果は得られていない。その解決策として再生型治療が注目され、筋芽細胞や骨髄細胞移植の臨床応用が開始されている。最近、重症心不全でLVAD装着術後に自己心機能が改善しLVAD離脱が可能となる症例、いわゆる"Bridge to Recovery"が報告されているが、その心機能を改善させるための手段として細胞移植が応用できないかを検討することを目的として本研究を開始した。 本研究ではまず、従来の針移植による細胞移植の問題点を改善すべく筋芽細胞シートの開発に取り組み、温度感応性培養皿を用いて、大動物(イヌ、ブタ)の骨格筋から筋芽細胞シートを作成することに成功した。筋芽細胞シートを詳しく解析した結果、HGF(肝細胞増殖因子)やVEGF(血管内皮細胞増殖因子)、SDF-1(間葉系細胞由来因子)などの増殖因子が高発現していることが確認された。次いで、大動物で虚血性心筋症モデルや拡張型心筋症モデルを作成し、それらに対して自己の骨格筋筋芽細胞シートを移植した。その結果、心エコーにて左室リモデリング抑制効果、心機能改善効果が認められ、組織学的検討では血管新生作用、抗アポトーシス作用、線維化抑制作用などが確認され、筋芽細胞シート移植の有用性が示された。また細胞シート移植に起因する有害な合併症の発生は認められなかった。今後は補助人工心臓を組み合わせての検討、心機能の多角的な検討や長期成績の検討を行い、臨床応用に向けて研究を続ける。
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