研究課題/領域番号 |
17390387
|
研究機関 | 東京女子医科大学 |
研究代表者 |
新岡 俊治 東京女子医科大学, 医学研究科, 教授 (20192122)
|
研究分担者 |
黒澤 博身 東京女子医科大学, 医学部, 教授 (50075511)
石山 雅邦 東京女子医科大学, 医学部, 助手 (30246558)
山本 昇 東京女子医科大学, 医学部, 助手 (50297470)
松村 剛毅 東京女子医科大学, 医学部, 助手 (20297469)
|
キーワード | 再生医療 / ティッシュエンジニアリング / 再生血管 / 生体吸収性ポリマー / 骨髄細胞 / 臨床応用 / フォンタン手術 / 中期遠隔成績 |
研究概要 |
我々は細胞工学(Tissue-Engineering)の技術を応用した再生血管の開発を行っている。生体吸収性ポリマーを足場(Scaffold)として、自己骨髄細胞をそれらに播種培養することで生体内で目的組織を作製する実験系である。研究代表者はTissue Engineeringの概念を提唱したLanger、Vacantiらとの共同研究で羊を用いた再生弁の作成に成功し、さらに肺動脈パッチとしての代用血管素材の開発を米国にて行ってきた。帰国後、ビーグル犬を用いた下大静脈移植術の実験モデルを確立し、再生組織の成熟度およびその経時的変化、播種した骨髄細胞のポリマー内での影響を解明してきた。それらの基礎的研究の成果を受け、2000年から院内倫理委員会承認のもと、Tissue-Engineered Vascular Autograft (TEVA)の臨床応用を開始し、良好な中期遠隔成績を得ている。 臨床で用いた生体吸収性ポリマーは、補強材をポリグリコール酸もしくはポリl乳酸として、その両側にポリカプロラクトンとポリ乳酸からなるスポンジ状共重合体ポリマーを置いた構成となっている。これらに播種し再生組織を得るために細胞の起源としては、骨髄細胞単核球成分を選択した。初期には混合静脈細胞を用いていたが、骨髄細胞の多分化能に内皮化および血管壁中膜再生の促進の可能性を求め変更した。また手術の際、患者に麻酔がかかった状態から清潔な手術室で腸骨稜より骨髄を採取するため、安全かつ簡便で、比較的低侵襲で目的細胞を獲得できるメリットがある。現在までに47症例に対し、このような手法で作成したTissue Engineered Vascular Autograft (TEVA)を用いた血行再建を行ってきたが、良好な中期遠隔成績を得られている。この内容は第84回米国胸部外科学会にて報告され(45症例)、2005年のJournal of Thoracic and Cardiovascular Surgery(129(6):1330-)に掲載された。 初期に移植を行った症例はすでに5年以上が経過しているが、現在もエコーやCT、MRIなどを用いて再生血管の評価を継続している。さらなる長期遠隔を解析し、また基礎動物実験の近年の成果も組み合わせて、よりよい再生血管素材の開発を目指している。
|