研究課題
基盤研究(B)
2001年9月より2004年12月の間に自己骨髄細胞と生分解性素材による再生血管を用いて外科手術を行ったのは、44症例である。ポリL乳酸(24例)またはポリグリコール酸(20例)を補強材とし、内外側にスポリンジ状のポリカプロラクトンとポリ乳酸の共重合体を塗布したハイプリッドポリマーをパッチまたは導管として使用した。術当日にFicoll法にて骨髄単核球細胞を分離し、ポリマー上に播種、移植した。再生血管を用いて、肺動脈形成または右室流出路形成術を16例に、フォンタン型手術を28例に行った。対象は、男性(児)19例、女性(児)25例で、手術時平均年齢は7.4±6.4才、術後在院平均日数は42±23日であった。再手術時に再生血管を使用した例は18例で、うち14例が先行手術時に自己心膜やウシ心嚢膜パッチにて肺動脈形成術が行われており、4例がAPCフォンタン術、Bjork、Septationからの転換例であった。病院死亡は認められなかった。再生血管に関連しない心不全死を遠隔期に3例、脳出血死を1例認めた。再生血管に関連する再手術例は2例であった。再生血管に関連しない再手術が1例、グラフトの閉塞1例、グラフトの狭窄などに対するPTA介入例を7例認めた。生分解性ポリマーと自己細胞による再生血管は、再手術時などに使用できる有用な代用生物(生体適合性)補填物である。内皮化など組織学的にも既存の人工物よりも有利であり、ワーファリンの回避や血栓の防止などに寄与すると考えられる。しかし、狭窄などに対する対策を今後も検討しなくてはならず、さらなる基礎研究と開発を行っていく所存である。
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