研究課題/領域番号 |
17390392
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
齊藤 延人 東京大学, 医学部附属病院, 教授 (60262002)
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研究分担者 |
今井 英明 群馬大学, 医学部, 助教 (70359587)
風間 健 群馬大学, 大学院・医学系研究科, 助教 (30396626)
高井 敬介 東京大学, 医学部附属病院, 助教 (70376424)
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キーワード | 脳虚血 / ラクナ梗塞 / 大脳白質 / モニタリング / ミニブタ |
研究概要 |
【背景と目的】これまでの囓歯類(ラット、マウス:滑脳型動物)を中心とした脳梗塞モデル研究の結果をもとに脳虚血障害における白質障害の重要性とよりヒト脳(脳溝型脳)に近い実験モデルの必要性が認識されてきている。基礎から臨床への橋渡しをする研究(トランスレーションナルリサーチ)を目的とし大型動物(ミニブタ:脳溝型脳動物)を用い選択的白質梗塞モデル(ラクナ梗塞モデル)を作成し、脳梗塞急性期の病態変化を多角的に解明する。さらに得られた基礎データの蓄積をもとに新しい脳梗塞治療法(神経幹細胞移植、成長因子による神経再生など)の開発戦略の構築を目指す。一方で囓歯類を用いた【方法】ミニブタを用いて全身麻酔下に前頭側頭開頭を施行し前脈絡叢動脈を遮断、ラクナ(内包)梗塞を作成した。本年度は昨年度に引き続き、このモデルの病理学的解析を進めた。また、motor evoked potential(MEP)の測定により、虚血後早期の電気生理学的変化を解析した。また、ラットでの白質梗塞モデルが可能となればさらに研究の展開が期待できる。最近の報告に基づきこれが再現可能か検証した(Frost SB, et. al., An animal model of capsular infarct: endothelin-1 injections in the rat. Behav Brain Res. 2006; 169: 206-11)。 【結果】内包への梗塞が91.4%の動物に作成できた。モデルとしては非常に再現性のあった。MEPは虚血開始後6.2±1.1分で消失した。しかしながら15分程度までの虚血では虚血再開通後MEPの反応は回復し、可逆性変化であることが判明した。病理学的には梗塞巣は初期には空胞形成と浮腫で始まり、その範囲が拡大してmacrophageが集簇し、瘢痕を形成した。神経軸索の障害を反映するAPP免疫染色での染色性の低下もこれに比例して拡大した。一方GFAPにより染色される反応性のastrocyteは24時間目から1週間後にかけて梗塞の辺縁部に集簇していた。ラットおよびマウスにおける白質梗塞モデルは開発を試みたが、動物の生存率が低く、結果としてモデルとして確立するに至らなかった。
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