研究概要 |
1.脳動脈瘤発生増大におけるInterleukin-1β(IL-1β)の役割 免疫組織染色において、IL-1βは脳動脈瘤初期病変の中膜平滑筋細胞を中心に発現がみられ、RT-PCRにてIL-1βのmRNAは脳動脈瘤初期に発現が亢進していた。IL-1βノックアウトマウスでは、脳動脈瘤の発生頻度はコントロールと変わりなかったが、進行したadvanced stageの脳動脈瘤の頻度は有意に減少した。また、1L-1βノックアウトマウスでは、TUNEL陽性やssDNA陽性のアポトーシス細胞の数は有意に減少しており、IL-1βが脳動脈瘤増大過程に平滑筋細胞のアポトーシスを誘導することにより関与することが示唆された。 2.ヒト脳動脈瘤関連遺伝子の解析 家族性脳動脈瘤29家系を用いた連鎖解析により連鎖を認めた領域内の有力な候補遺伝子、Nitric oxide synthetase 2A(NOS2A), Apolipoprotein E(APOE), Angiotensin converting enzyme 2(ACE2)について、脳動脈瘤のケース362名、コントロール332名を用いて、脳動脈瘤との相関を解析したが、相関は認めなかった。 さらに、最もNPL値の高かったCh17cenの領域に含まれる9つの候補遺伝子を、家系のproband 29名及び弧発例29名でsequenceを行うと、Tumor necrosis factor receptor superfamily, member 13B(TNFRSF13B)においてのみ、deleteriousなvariantsが見つかった。また、TNFRSF13B内のhaplotypeについて相関解析を行ったところ、有意な相関を認めた(OR=0.68,P=0.044)。TNFRSF13Bは脳動脈瘤の感受性遺伝子であることが示された。
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