研究課題
基盤研究(B)
パーキンソン病への移植療法を念頭に置き、ES細胞をドパミンニューロンに分化誘導してマイクロカプセル内に封入しin vitroで長期間安定してドパミンを産生することを確認した。パーキンソン病モデルラットに対する治療効果を3ケ月間行動学的評価で確認し、免疫組織学的にもドパミンの産生を確認した。カプセル化細胞の腫瘍形成は見られなかった。また、NT2細胞を我々の研究室で用いている中空糸内にカプセル化して脳梗塞モデルラットやパーキンソン病モデルラットに移植したところ、良好な治療効果が認められた。引き続きラット成体由来神経幹・前駆細胞を用いた研究に進み、未分化なままでも、神経系への分化誘導を行った後でも、1型コラーゲンと共にカプセル化すると、腫瘍形成せず生存することを確認した。成体サル脳室下帯・海馬からも神経幹細胞を分離培養した。増殖スピードはラットの細胞より遅く、移植に必要な量まで増幅させるのに1.5ケ月を要した。カプセル化には1型コラーゲンを要し、1ケ月間の生存率はラットを用いた研究と比較して遜色なかった。分化誘導を行わずにカプセル化を行うと、ニューロンへの分化を示すものはごく少数であり、グリア細胞への分化を示すものが多数であった。ドパミンニューロンへの分化を図った後にカプセル化した細胞からはドパミンの分泌がHPLCにより確認された。パーキンソン病モデルサルを作成し、亜急性期にカプセル化未分化サル神経幹・前駆細胞を移植すると、1ケ月間細胞は生存したが、有意な行動学的改善を示さなかった。それに対して、ドパミンニューロンに分化したカプセル化神経前駆細胞を移植すると、パーキンソン病モデルサルは行動学的改善を示した。パーキンソン病に対して、ドパミンニューロンに分化誘導したカプセル化細胞は治療効果を有し、腫瘍化という大きなハードルを越えることができるため、臨床応用が現実となる可能性を有すると思われる。
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