研究分担者 |
片野 広之 名古屋市立大学, 大学院・医学研究科, 助教授 (30295612)
相原 徳孝 名古屋市立大学, 大学院・医学研究科, 講師 (00264739)
間瀬 光人 名古屋市立大学, 大学院・医学研究科, 助教授 (60238920)
浅井 清文 名古屋市立大学, 大学院・医学研究科, 教授 (70212462)
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研究概要 |
オリゴデンドロサイトに特異的なセリンプロテアーゼであるmyelencephalon-specific protease(MSP)はオリゴデンドロサイトの増殖、ミエリンの分解と再生、神経突起の伸展やシナプスの可塑性に関連する。このMSPのcDNAを用いてラット脳虚血モデルでmRNA発現を解析すると、虚血周囲白質で3-7日をピークに、オリゴデンドロサイトに特異的に発現亢進がみられた(Uchida A, et al:Mol Brain Res)。また免疫染色用の抗体はMSP部分ペプチドを家兎に免疫して作成し、これをアフィニティ・カラムにかけて精製したものを用いた。ラットの局所脳虚血モデルでこの抗体を用いて解析したところ、MSPの蛋白発現は7日をピークとして、梗塞周囲の脳梁や内包にみられることを明らかにした。またミクロオートラジオグラフィーおよび免疫二重染色の結果、発現はオリゴデンドロサイトに特異的であることを明らかにした。次に凍結損傷による外傷モデルでも軸索損傷からの回復時期に一致してMSPが発現することを明らかにした。(Oka Y, Asai K, Yamada K, J Neurotrauma)。また蛋白発現でも時間経過は異なるが、類似の空間的広がりをもって損傷周囲の白質オリゴデンドロサイトに発現することを明らかにしている。このことから、MSPは軸索損傷後の修復再生活動のシグナル伝達指標として使用できることが明らかになった。現在MSP mRNAの発現をマーカとして、神経幹細胞移植や軸索再生促進因子の投与による軸索再生活動へのオリゴデンドロサイトの関与を検討中である。このことにより、従来マーカーに乏しくその役割が不明確であったオリゴデンドロサイトの再生活動への関与が明らかになることが期待でき、より効果的な再生や移植の方法が開発できることが期待できる。
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