研究課題/領域番号 |
17390410
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
原 由紀則 東京大学, 医学部附属病院, 医員 (30396741)
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研究分担者 |
緒方 直史 東京大学, 医学部附属病院, 客員教員 (10361495)
馬渕 昭彦 東京大学, 医学部附属病院, 客員助教授 (80312312)
川口 浩 東京大学, 医学部附属病院, 助教授 (40282660)
中村 耕三 東京大学, 医学部附属病院, 教授 (60126133)
門脇 孝 東京大学, 医学部附属病院, 教授 (30185889)
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キーワード | 骨 / 骨芽細胞 / 骨密度 / Akt / ノックアウトマウス / アポトーシス |
研究概要 |
昨年度に引き続き、Aktシグナルによる骨代謝調節の分子メカニズムを詳細に検討した。骨組織において主要なAktであるAkt1の欠損(-/-)マウスは同胞野生型マウス(+/+)に比べて骨粗鬆化を呈し、骨組織形態計測では骨芽細胞数の低下をはじめ骨形成・骨吸収とも指標の低下がみられた。-/-マウス頭蓋骨由来骨芽細胞(OB)培養系では、細胞増殖能は正常であったが、血清除去(SD)後の細胞生存率の低下、アポトーシス実行分子caspase-3(cas-3)の活性化亢進がみられた。Akt下流のアポトーシス関連分子のうち、転写因子Fox03aのリン酸化が-/-OBで抑制されてSD後の核内移行が亢進していた(western blot)。Fox03aの転写標的分子のうちアポトーシス促進作用を持つBimの発現はSD後に上昇したがFas ligand、Bcl-XLは不変であった(real-time RT-PCR)。Bim蛋白はSD後にcas-3活性化に先行して増加し、siBim導入によりcas-3活性化は抑制された。Fox03aはBimのpromoter活性(luciferase assay)・mRNA発現を促進したが、恒常活性型(ca)Akt1の導入によりBimのpromoter活性・発現はともに抑制された。更に、-/-OBに不活性型(dn)Fox03aを強制発現させると、SD後のBimの発現亢進、cas-3の活性化亢進、血清除去後の生存率減少はすべて回復した。-/-OBでは石灰化能、osteocalcin(OC)発現などの障害が見られた。この機序として骨形成のマスター分子であるRunx2との関与を検討した。レトロウィルスを用いてRunx2を安定導入した骨芽細胞系MC3T3E1細胞の骨芽細胞分化はcaAkt1共導入により亢進し、siAkt1共導入により抑制された。またRunx2のOC promoterへの結合(ChIP assay)、promoter活性は-/-OBで抑制された。以上の結果より、Akt1シグナルは骨芽細胞においてはFox03a/Bim経路の抑制を介して生存に促進的に作用するとともに、Runx2の転写活性を促進することを介して骨芽細胞分化・石灰化能を促進することが示された。
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