研究概要 |
骨芽細胞特異的にGaqを発現するマウスにおいて骨組織の菲薄がが認あられ, Gaqシグナルに骨形成抑制作用があることがこれまでの解析で明らかになった事から,19年度では骨組織特異的にGaqを欠損したマウスの作製を行った。GaqのアイソザイムであるG11遺伝子を欠損し,かつGq遺伝子座にloxP配列を挿入したGaqfloxマウス(Gqfl/fl/G11-/-)を作出して,骨組織特異的に発現するコラーゲンIのプロモーターを用いたCOLa1(I)-Creマウスと交配させることで,骨芽細胞特異的Gaq/G11欠損マウス(KO)を作出した。 KOマウスは正常に成長し,生理的条件下でのマウスの骨組織でのX線撮影,骨密度の測定,マイクロCTによる3次元微細形態学的検討を行ったところ,骨組織も骨密度も正常マウスと差はなかった。そこで8週齢のマウスに副甲状腺ホルモン(PTH)(1-34)の皮下注射を週5回,4週間行って脛骨,腰椎の骨密度を非投与群と比較したところ,KOマウスでは正常マウスに比べてPTHの骨密度増加効果が増強していた(15%,8%vs.12%,5%;P<0.05)。これらの検討により,骨芽細胞におけるGaqシグナルは骨形成能を抑制することが示され, PTHの骨同化作用はGasによる促進作用とGαqによる抑制作用のバランスで調節されていることが明らかとなり,Gaq選択的抑制の臨床応用が示唆された。
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