研究課題/領域番号 |
17390423
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研究種目 |
基盤研究(B)
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 一般 |
研究分野 |
麻酔・蘇生学
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研究機関 | 弘前大学 |
研究代表者 |
廣田 和美 弘前大学, 大学院・医学研究科, 教授 (20238413)
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研究分担者 |
工藤 美穂子 弘前大学, 大学院・医学研究科, 助教 (30003411)
櫛方 哲也 弘前大学, 医学部・附属病院, 講師 (80250603)
工藤 剛 弘前大学, 大学院・医学研究科, 助教 (70003407)
吉田 仁 弘前大学, 医学部・附属病院, 助教 (00374843)
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研究期間 (年度) |
2005 – 2007
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キーワード | オレキシン / ノルアドレナリン / ラット / マイクロダイアリーシス / 大脳皮質スライス |
研究概要 |
今回の研究結果は、脳内ノルアドレナリン神経活動がGABA型麻酔薬で約30%減少することとNMDA型麻酔薬で逆に約5倍に増加することの双方が、全身麻酔機序(意識消失)に関与するとした我々の仮説に合うものであった。まずオレキシンは、ノルアドレナリン神経を活性化するが、最大でも2.5倍程度、つまり我々が想定した覚醒が最大となるノルアドレナリン放出の範囲内での増加に留まることが分かり、またGABA型、NMDA型麻酔薬の双方のターゲットとなっていることもわかった。GABA型麻酔薬であるチオペンタールの麻酔時間はオレキシンのノルアドレナリン神経活性により麻酔効果が減弱し、NMDA型麻酔薬ケタミンではケタミンによるノルアドレナリン神経過興奮がオレキシンにより減弱され麻酔効果も減弱した。また、ノルアドレナリン神経の抑制が関与するGABA型麻酔薬プロポフォールで、ヨヒンビン1mg/kg ipによりノルアドレナリン放出量を250%程度に増加させると麻酔時間は減少するが、10mg/kg ipすることでノルアドレナリンの放出量をケタミン麻酔並みの500%まで過度に増加させると麻酔時間は逆に延長した。つまりGABA型麻酔薬においてもノルアドレナリン神経の過興奮は麻酔効果増強に働くことが分かった。さらに、ノルアドレナリン神経の抑制が関与するGABA型麻酔薬チオペンタールでは、DSP-4による青斑核系ノルアドレナリン神経の破壊により麻酔時間が延長したが、ノルアドレナリン神経の過興奮が関与するNMDA型麻酔薬ケタミンでは、逆に麻酔時間は減少した。そして、大脳皮質内ノルアドレナリン含有量とチオペンタール麻酔時間の延長およびケタミン麻酔時間の減少との間には各々有意な相関が認められ、ノルアドレナリン神経の抑制、過興奮の両方が意識消失に関与することが実証できたといえる。
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