研究課題/領域番号 |
17390429
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研究機関 | 山口大学 |
研究代表者 |
坂部 武史 山口大学, 大学院・医学系研究科, 教授 (40035225)
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研究分担者 |
松本 美志也 山口大学, 大学院・医学系研究科, 准教授 (60243664)
水上 洋一 山口大学, 総合科学実験センター, 准教授 (80274158)
平田 孝夫 山口大学, 医学部附属病院, 助教 (40420533)
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キーワード | 脳虚血 / 虚血耐性 / 高気圧酸素 / クロストレランス / 遺伝子 / 耐性関連因子 |
研究概要 |
本年度は、これまでの網羅的遺伝子解析で明らかとなった、高気圧酸素(HBO、3.5ATA)で誘導される神経保護関連遺伝子(p75NTR、C/EBPδ、CD74)が作り出すタンパクを修飾し、HBOで獲得される前脳虚血に対するクロストレランスの機序の詳細を検討した。前脳虚血(8分間)は、両側総頸動脈閉塞+脱血による低血圧(平均血圧50mmHg)により作成した。HBO(3.5ATA、100%酸素、1日1時間、連続5日間)条件付けのそれぞれ1時間前に、p38 mitogen-activated protein kinase(p38 MAPK)活性をもつ蛋白合成阻害薬anisomycin(AM)を投与し、最終HBO条件付けの12時間後に虚血を行い、7日後に組織学的検討を行った。 HBO条件付け前のAM投与で、HBOによる神経保護作用が抑制された。このHBOによる神経保護作用の抑制は、AM投与とHBO処置の間にp38MAPK阻害薬(SB203580、SB)を投与すると消失し、HBOによる脳保護効果が再現した(生存神経細胞60±15/mm)。p38MAPK活性を持たない蛋白合成阻害薬cycloheximide、CYCLO)をHBOの直前に投与するとHBOの保護効果は消失(生存神経細胞4±3/mm)し、SBとの併用投与で、神経保護効果の一部改善がみられた(生存神経細胞20±20/mm)。ひき続き、2種の蛋白合成阻害薬(AM、CYCLO)単独とSBとの併用処置による海馬CA1でのp38MAPKのリン酸化および蛋白発現変化の解析を行っており、結果を総括するとともに、今後さらにHBOにより誘導されるp75NTR、C/EBPδ、CD74蛋白とp38MAPKの修飾の関連を明らかにする。
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