研究概要 |
平成17年度 1.マウスにおける脊髄後角ニューロンにおける細胞外記録とin vivoパッチクランプ記録 A/J,C57/BL6,CBA/Jマウスをウレタン麻酔下に人工呼吸とした.腰部脊髄(L2-L5)を露出し,固定器に脊柱を固定した.硬膜を切除し,脊髄表面を酸素化したクレブス液を潅流し,L4後根進入部の軟膜を切除し開窓した. (1)細胞外記録 タングステン電極(10-15Ω)をL4開窓部より脊髄に刺入し,足底部に受容野を有する脊髄後角wide-dynamic-range(WDR)ニューロンの単一活動電位を導出した.von Frey hair,ブラシ,動脈クリップを用いた非侵害・侵害性刺激に対する応答を記録後,2.5%フォルマリンを受容野中心に皮下注射し,活動電位の発生を1時間まで観察記録した.フォルマリン注入で誘起される活動電位の発射頻度はI相,II相ともに,CBA/J>C57/BL6>A/Jの順となり,CBA/JとA/JおよびC57/BL6とA/J間に有意差を認めた(P<0.05).また行動学上の疼痛行動の大きさもCBA/J>C57/BL6>A/Jの順であり,よく相関した. (2)in vivoパッチクランプ記録 ガラス電極(8-12Ω)をL4開窓部より脊髄に刺入し,膠様質(substantia gelatinosa : SG)ニューロンから,電流固定下でホールセルパッチクランプ記録を行った.非侵害性,侵害性機械刺激の両者に応答するMulti-receptiveニューロン活動を記録し,air-puffおよびpinch刺激に対する電圧変化を記録した.次いで受容野中心を5mm皮膚,皮下,筋肉に切開を入れた.切開後30分まで自発活動を記録し,受容野にair-puffおよびpinch刺激に対する電圧変化を記録した.A/Jマウスでは,切開後,自発性活動電位は消失したが,C57/BL6およびCBA/Jマウスでは切開後,自発性の活動電位が長時間持続した. 2.マウスにおける延髄(Rostral Ventromedial Medulla : RVM)からの細胞外記録 ウレタン麻酔下のマウスRVMニューロンからの細胞外記録に成功し,モルヒネに対する応答性を検討開始した.
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