研究概要 |
家族性前立腺癌における遺伝子解析として、これまで欧米からMSR1遺伝子多型が前立腺癌リスクに関与する報告があり、まず、これらの結果と比較検討した。昨年度の研究費により、家族性前立腺癌および遺伝性前立腺癌、86家系の発端者(proband)から得られたgenomic DNAを用い、11のExon, Exon-intron junction, Promoter lesionおよび5'と3'UTRのPCR産物をDirect sequence法を用いてgenotypingした。 我々のサンプルからはPro36Ala, Ser41Tyr, Val113Ala, Asp174Tyr, Gly369Ser, His441ArgおよびIVS5-59の遺伝子多型は認められなかったが、Exon 8においてLys338Xのnonsense変異が認められたのをはじめ、promoter領域に3つ、Intron 7に2つ、Exon 11に6つの遺伝子変異を同定した。 Association studyにより、PRO3"G"およびINDEL1"+"はx二乗検定によりp-valueはそれぞれ、0.319,0.319と有意差を認めなかったが、P275A"C"およびINDEL7"-"は0.032および0.041と有意差を認め、P275AのCアレル、およびINDEL7を認めないものは、日本人における家族性前立腺癌の責任遺伝子の候補になると考えられた。 また、1p36付近にある遺伝子をデータベースサーチにより、すべて拾い出し、前立腺での遺伝子発現状況をサーベイし、Lipoprotein lipaseおよびGeneID2810のSFN(stratifin-別名14-3-3sigma)の発現が多いことを確認し、遺伝子多型を検討した。この2遺伝子に関しては、有意差を認めず、今回のサンプルとの関連は否定的であった。
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