研究概要 |
本年度において以下の成果が得られた. 1)U7蛋白質高発現系確立 レトロウイルスベクターを用いてラット胎児線維芽細胞(REF)に感染させ,U7安定発現細胞を樹立した.これによる増殖曲線を作成すると,対照細胞にくらべ増殖促進が認められた. 2)単クローン抗体作製 大腸菌によりリコンビナントU7蛋白質を作製し,マウスに免疫,単クローン抗体を得ることができた. 3)臨床検体におけるU7発現の検討 得られた単クローン抗体でイムノブロットによるU7検出を行ったところ,膀胱癌組織では約70%に強い発現を認めた.一方,正常尿路上皮ではU7発現は極めて弱い,ないしは検出不可であった. 4)癌細胞株におけるU7発現の検討 同じく,イムノブロットで検討したところ,ほとんどの癌細胞株でU7の発現を認めた.また,癌種のみならず肉腫由来の細胞株でも高頻度でU7高発現を認めた.一方,正常線維芽細胞,骨芽細胞には発現を認めなかった. 5)U7機能阻害実験 数種のsiRNAを作製しU7ノックダウン効果を確認したところ,最大>90%の抑制効果を得ることができる配列を見出した.このsiRNAを用いて各種細胞株にトランスフェクションし,増殖抑制効果をMTTアッセイで検討したところ,25〜70%の増殖抑制効果を認めた. 次年度においては,関連蛋白質の同定,U7蛋白質の機能解析,およびin vivoでの抗U7療法の検討を行う予定である.
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