研究課題
pVHL(-)腎癌細胞株にWt-VHLを導入、Mockを導入した細胞株との培養上清蛋白質の比較解析を行ったところ、pVHL(+)細胞でclusterinの過剰産生を認めた。同蛋白質はmRNAレベルでpVHLに制御されておりLuciferase Assayの結果、プロモーター領域のAP-1結合配列がResponsible Elementであった。Gelshift AssayではJUN protein familyの一つであるJUNBのpVHL(-)細胞核内での特異的な増加を認め、PC12細胞に同蛋白質を強制発現させたところAnti-apoptotic effectを示した。副腎褐色細胞腫のみを発症する亜型(Type2C)のVHL病家系に認められるL188V mutantにおいてpVHLの標的蛋白、HIF-alpha分解能が保持されているのに比してJUNBが制御されてないことからもJUNBの過剰発現が副腎褐色細胞腫の成因であると考えられた。VHL病以外にもMEN Type2、神経線維腫症1型で家族性に褐色細胞腫を発症する。これらは、RET、NF1の遺伝子変異を原因とするが両者の遺伝子産物の下流にも、やはりJUNBが位置することが知られている。近年、新たに家族性褐色細胞腫の原因遺伝子として同定されたsuccinate dehydrogenase gene(SDHD、SDHB)遺伝子産物がJUNBの下流にあるEGLN3の活性を制御していることも判明しており、既知の家族性褐色細胞腫が全て共通の細胞内シグナル伝達経路の異常により発症することが明らかとなった。また、SDHの変異は腎細胞癌を来すことも知られており、上記のシグナル伝達経路が悪性褐色細胞腫の成因に関与している可能性も高く、今後、治療の標的分子となりうる可能性も示唆された。
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