研究課題/領域番号 |
17390441
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研究機関 | 札幌医科大学 |
研究代表者 |
塚本 泰司 札幌医科大学, 医学部, 教授 (50112454)
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研究分担者 |
佐藤 昇志 札幌医科大学, 医学部, 教授 (50158937)
舛森 直哉 札幌医科大学, 医学部, 助教授 (20295356)
本間 一也 札幌医科大学, 医学部, 研究員 (20404676)
佐藤 英次 札幌医科大学, 医学部, 研究員 (30404677)
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キーワード | 尿路上皮癌 / 免疫療法 / がん抗原 / HLA cell I抗原 / サバイビン |
研究概要 |
1)表在性尿路上皮癌におけるHLA class I抗原の発現と臨床経過 表在性膀胱癌に対するBCG膀胱内注入療法では、癌細胞表面におけるHLA class I抗原の発現低下は膀胱内再発のリスク要因であることが多変量解析の結果から明らかとなった。さらにBCG膀胱内注入療法後にCD8、CD20、CD68陽性T細胞の浸潤を認める場合には、これらの細胞の浸潤が少ない場合と比較して明らかに膀胱内再発が低いという結果であった。このことから、HLA class I抗原発現の程度はBCG免疫療法の効果に強く寄与することが判明したと同時に、この機序に細胞障害性T細胞の関与も明らかになった。 2)浸潤性尿路上皮癌におけるHLA class I抗原の発現と臨床経過 浸潤性膀胱癌においてもHLA class I抗原発現の発現と臨床経過に関して検討した。74例の浸潤性膀胱癌では、25例の発現低下が認められた。発現正常群と低下群の5年生存率を比較すると、前者は61%、後者は33%と有意な差があった。多変量解析でも、発現の程度が独立した予後因子であることが判明した。 3)尿路上皮癌に対するサバイビン・ペプチドワクチン療法臨床第1相試験 これまでに、MVAC、TINなどの抗がん化学療法に抵抗性の再発尿路上皮癌7例に対して計34回のサバイビン-2Bペプチドワクチンの投与を行った。重篤な有害事象は認められなかった。免疫学的に評価可能であった4例中2例では、サバイビン特異的なCD8陽性Tリンパ球の増加が確認され、担癌状態でありながら2年以上にわたり病状の進行が抑えられた。このうちの1例はminor responseと評価された。 4)まとめ (1)HLA class I抗原発現の程度は尿路上皮癌の臨床経過と相関した。この発現の改善を免疫療法ターゲットすることに期待がもたれる。 (2)サバイビン-2Bペプチドワクチンは進行性尿上皮癌の治療に有効な場合があることが示唆された。
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