研究課題
我々は、gefitinib(イレッサ)は、シスプラチン(CDDP)と併用されると、CDDPが誘導するPI3K/AktやERK経路の活性化によるanti-apoptoticな作用を解除することによって、CDDPの抗腫瘍効果を増強することをin vitroで明らかとしてきた。今年度は当初の計画通り、in vivoにおけるイレッサのCDDP耐性卵巣癌に対する効果について検討した。ヌードマウスにCDDP耐性株であるCaov-3を接種し、その後CDDPとイレッサを単独または併用投与した。その結果、イレッサ(50μg/kg)とCDDP(5mg/kg)の併用投与により、1)腹水量、腹腔内腫瘍重量が各薬剤の単独投与に比べて有意に(p<0.01)減少した。2)CDDPにより誘導される腫瘍細胞におけるEGFR, ERK, Aktのリン酸化がイレッサの併用により抑制された。3)単独投与に比較し、有意に(p<0.01)腫瘍細胞のアポトーシスを増加させた。これらの結果から、イレッサは、in vivoでもCDDP耐性卵巣癌において、CDDPの抗腫瘍効果を増強させることが示唆された。また、今年度は当初の計画に加えて、イレッサがCDDPによるDNA損傷からの修復を遅らせる効果があるという報告があるので(Clin Cancer Res 2004)、この点についても実験を進め、以下の結果が得られた。CDDPにより誘導されるDNA損傷はイレッサを併用することで、1)DNA repair assayにおいて修復が遅延し、2)DNAの修復酵素であるDNA-PKのmRNAレベルでの発現を抑制した。これらの結果から、イレッサはCDDPが誘導するDNA損傷からの修復を遅延することでもCDDPの抗腫瘍効果を増強することが示唆された。今後は更なる検討を、臨床検体を用いて行う予定である。
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