研究課題
基盤研究(B)
異物である胎児を許容するために、母体には免疫学的胎児許容機構が存在するが、この許容機構が十分でないと流産や妊娠高血圧症候群(PIH)を引き起こす。一方、腫瘍細胞も宿主免疫細胞からの攻撃を免れており、両者の共通点も多い。今回、妊娠免疫と腫瘍免疫を比較検討し両者の類似性を検討した。妊娠免疫から検討すると、胎児を許容するためにCD^<4+>CD25^+制御性T細胞ならびにIDOを発現する樹状細胞やマクロファージが重要な役割を果たしていた。これらと同様の事象が起こっているかを婦人科腫瘍で検討したところ、制御性T細胞が腫瘍の浸潤局所に集積しており、浸潤局所の腫瘍細胞にIDOが発現しており、着床部と同様の免疫環境を呈していた。一方、腫瘍細胞から得られた知見を基にして妊娠免疫に関する新知見が得られた。白血病モデルからCD94^-、acialoGMI^+、CD25^<++>、CD122^+、Thy1.2^<++>、c-kit^+、CD3^- 、DX5^+NK細胞を見い出し、同NK細胞が免疫抑制活性をもつことを初めて見い出した。同NK細胞はTGF-βを産生し、樹状細胞上のMHC class II抗原の発現を抑制し、細胞傷害性T細胞の誘導を抑制する。興味あることに、同様のNK細胞は妊娠時の子宮内膜にも増加し、免疫不全マウスであるNOD/SCIDマウス妊娠子宮にも著増していた。制御性NK細胞については、その存在については十分に知られていなかったが、これらの所見を妊娠免疫、腫瘍免疫から得ることができた。今後、ヒトにおいても制御性NK細胞の同定を行っていきたいと考えている。
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