研究課題
基盤研究(B)
本研究では、雌性生殖器官における着床メカニズムを、分子レベルで解析することが可能なモデルマウスの開発を目的とした。その戦略として、1)テトラサイクリン誘導性子宮特異的プロモーターの制御下Cre-loxPシステムを用いた遺伝子改変マウス(OGP-creTG)による内的制御、2)雌性生殖器官に直接遺伝子等を投与する外的制御、の2点を考案し、それぞれの制御システムの開発を行った。1)については、OGP-creTGから摘出した生殖器官組織を培養皿におき、ドキシサイクリン(DOX)の存在下で培養をしたところ、子宮においてDOX依存性にCre mRNAが最も強く誘導された。さらに、目的遺伝子をlox-P配列ではさんだflox-PマウスとOGP-creTGを交配させることにより、子宮特異的に目的遺伝子の発現が調節可能なCre-loxPマウスが得られる。この戦略の妥当性を検証するため、本TGをRosa26 Creレポーターマウス(Soriano.Nat Genet,1999)と交配することで得られるF1マウスに対して、DOXを腹腔内投与したところ、期待通りの組換えが生じ、子宮(内膜腺上皮)特異的にレポーター遺伝子(LacZ)の発現が認められた。以上より、時空間特異的・可変的に目的とする遺伝子の改変とその発現修飾を子宮に誘導することが可能となった。ただし、最大限且つ再現性の高い可変性を得るためには、未だDOX投与など至適条件の設定に検討の余地があることも判明した。2)については、超音波と造影剤を用いて遺伝子をin vivo導入する戦略(sonoporation)を採用した。従来のliposome法などに比べて、sonoporationでは極めて高い効率で子宮腔上皮への遺伝子導入が可能であり、妊孕能可変システムとして、胚-腺上皮相互作用を標的とした着床能制御を行い得ることが示唆された。
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