研究課題
研究代表者が所属する施設で経験した500家系の遺伝性難聴症例の中で、遺伝子CDH23の両端のイントロンが、最低でも150bpのシークエンスが判明可能となるように、プライマーを設計し、SNPを検索した。難聴発症の原因となる遺伝子変異ならびに有意な多型は同定されなかった。難聴遺伝子解析では、解析に時間を要するPCR-RFLP法あるいは直接シークエンス法でなく、蛍光ビーズアレイ法PCR-Luminex法を用いて、ミトコンドリア遺伝子変異の代表的なhot spotである28変異の網羅的解析を施行した。その結果、対象373名中3243A>Gを10例、1555A>Gを11例認めた。3243A>Gは、糖尿病等の疾患がなく非症候群性難聴と診断される症例であった。また、母系遺伝と診断してない家系で1555A>Gが同定された。さらに、8348A>G、11778G>A、15498G>A等の新規変異が同定され、PCR-Luminex法を用いたミトコンドリア遺伝子変異網羅的解析法の有用性が認められた。両側の急性発症の高度難聴を呈した症例の側頭骨内耳病理を解析し、食道癌の内耳膜迷路への広範な浸潤を同定し、難聴発症原因のひとつである悪性腫瘍細胞の内耳進展経路を示した。高度難聴を示すマウスで、Vlgr1 (very large G-protein coupled receptor)が、コルチ器感覚細胞の感覚毛の発生の際に、感覚毛の基部に発現し、変異があると感覚毛の正常な発生が障害される点を同定した。さらに、Vlgr1がマウスの加齢性難聴の原因遺伝子であるCDH23と同様に加齢性変化による難聴発症への関与が示唆された。
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